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2026年秋マンション売却「待つか・売るか」完全ガイド──政策金利1%突破×中古成約㎡単価2ヶ月連続前年割れ×在庫急増が示す「転換期」の最新市況と、金利上昇・価格調整・在庫動向から読み解く最適な売却判断フレームワーク

8月28日
読了時間: 9分

あなたはまだ「もう少し待てば価格は上がる」と思っていないか


マンション売却を検討しながら、「金利が上がっても、価格はまだ上がるだろう」と考えていないだろうか。

その楽観は、今この瞬間にも崩れ始めている。

日銀は2026年6月15・16日の金融政策決定会合で政策金利を1.00%に引き上げた。

東日本不動産流通機構(REINS)が公表した2026年5月度の中古マンション市場動向によると、首都圏の中古マンション成約㎡単価は73ヵ月ぶりに前年同月を下回った。

首都圏中古マンションの在庫件数は45,995件で4カ月連続の増加となっている。

つまり、6年以上続いた「右肩上がり」の時代は終わりを告げた。

売主が今、最も恐れるべきは「待ちすぎて逃した」という後悔である。


「待てば上がる」という幻想──損失回避バイアスが売り時を遅らせる


行動経済学に「損失回避バイアス」という概念がある。

人間は「得をすること」より「損をしないこと」を約2倍重視するという心理傾向だ。

この心理が、マンション売却の判断を歪める。

「今売ると、もっと高く売れたかもしれない」という恐怖が、売却の決断を先延ばしにする。

しかし、現実の市場は待ってくれない。

東京都心6区(千代田区、港区、中央区、新宿区、渋谷区、文京区)の掲載価格は、2026年2月(1億8,063万円)をピークに4ヶ月連続で前月を下回り、6月は1億6,800万円となっている。

わずか4ヶ月で1,200万円以上の下落。

「待てば上がる」という期待は、すでに裏切られ始めている。


政策金利1%突破──30年ぶりの金利環境が市場を変える


2025年12月の金融政策決定会合において、日銀は政策金利を従来の0.5%から0.75%に引き上げた。政策金利0.75%は、1995年以来約30年ぶりの高水準である。

そして2026年6月、日銀は政策金利水準を1.00%に引き上げた。

2026年8月の主な金融機関の変動金利は、0.9~1.2%台となっている。

みずほ銀行は、2026年8月3日から短期プライムレートを2.125%から2.375%へ0.25%引き上げた。

この金利上昇が何を意味するか。

5,000万円を変動金利で借りた場合、金利が0.5%上がれば月々の返済は約1万円増加する。

年間12万円、35年で420万円の負担増となる。

買い手の購買力は確実に削がれている。


成約㎡単価2ヶ月連続前年割れ──73ヶ月ぶりの異変


2026年5月の首都圏中古マンション市場は、成約件数が2か月連続で減少し、成約㎡単価も73か月ぶりに前年同月を下回るなど、これまでの強い上昇基調に変化が見られる月となった。

特に東京23区では成約件数の減少が目立ち、価格水準の高さを背景に、買い手がより慎重に物件を選ぶ動きが強まっている。

73ヶ月とは約6年。

6年以上続いた価格上昇トレンドが、ついに止まった。

特に市場を牽引してきた東京23区では、成約件数が1,635件(前年比-9.0%)の大幅なマイナスとなった。

都心こそが、最も早く変調のシグナルを発している。


売出価格と成約価格の「ワニの口」──3割の乖離が意味するもの


ある大手仲介会社の現役営業マンは語る。

「売主の期待価格と、買主が実際に払える価格の差が、かつてないほど開いています」

2026年1月は売出価格が110.97万円に対して、成約価格は86.99万円だから、両者の格差は27.6%に拡大している。

この乖離を「ワニの口」と呼ぶ。

売出価格が上がり続ける一方、成約価格は追いつかない。

口が開けば開くほど、「売れない物件」が市場に滞留する。

売り手の価格水準はさらに上を見ている一方で、買い手側はその価格に対して慎重さを強め、予算をシビアに見極めている。この双方の"温度差"によって、相場から乖離した高すぎる売り出し価格の物件が市場に取り残され、在庫件数を押し上げる要因となっている。


図1|首都圏中古マンション売出価格と成約価格の乖離推移(東日本不動産流通機構データより編集部作成)

在庫4ヶ月連続増加──スーパーの棚に並ぶ「見切り品」と同じ構造


首都圏中古マンションの在庫件数は45,995件で4カ月連続の増加、在庫価格は6,745万円で前年同月比29.3%上昇した。

この現象をスーパーマーケットに例えよう。

棚に並ぶ商品の「定価」は上がっている。

しかし、その定価では売れずに棚に残り続ける。

やがて「見切り品」として値下げせざるを得なくなる。

東京カンテイ発表によると、2026年6月の東京23区中古マンション平均価格は1億2741万円で前月比0.8%下落、26カ月ぶりの反落となった。都心6区は値下げ物件が50.9%に達した。

都心6区で半数以上の物件が値下げを迫られている。

これが「転換期」の現実である。


都心6区の価格下落──「上げ過ぎた」マーケットの自己調整


2026年2月、東京都心6区の中古マンション平均価格が1億8761万円を記録し、37カ月ぶりに前月比下落(0.2%減)に転じた。

高騰していた東京都心6区の中古マンションの価格が小幅ながら約3年ぶりに下落した。高値についていける買い手が限られるようになり、成約しにくくなっているとの見方がある。港区などに立つ高級物件では販売価格を引き下げる例が出てきた。

ある大手仲介会社の幹部は言う。

「都心の超高額物件は、転売目的の投資家が短期融資の返済期限に追われて値下げしている。実需層の購買力はとっくに限界を超えている」

都心6区全体で見れば、2026年2月に流通した中古マンションは4400戸強。その中での-0.2%の前月比変動は、一部エリアの価格調整が統計を引き下げた可能性が高い。

しかし、この「一部の調整」が全体に波及するのは時間の問題である。


売却判断フレームワーク①──「金利上昇」と「購買力」の相関を読む


売却タイミングを判断する第一の指標は、住宅ローン金利と買い手の購買力の相関である。

日銀は、原油高や円安などを背景に、2026年度後半以降の物価上昇率が2%をはっきりと上回ると予想している。現在の金融環境はなお緩和的であるとして、今後も政策金利を引き上げていく方針を維持した。

つまり、金利は今後も上がる。

金利が上がれば、買い手が借りられる金額は減る。

買い手の購買力が下がれば、マンション価格も下がる。

この連鎖は避けられない。


売却判断フレームワーク②──「成約価格」と「売出価格」の差を監視する


第二の指標は、成約価格と売出価格の乖離率である。

首都圏中古マンションの2026年6月データでは、成約価格は5,208万円、新規登録価格は6,626万円、在庫価格は6,745万円となった。

売出価格6,626万円に対し、成約価格5,208万円。

約21%の乖離が生じている。

この差が大きいほど、「売れない物件」が増える。

自分の物件がこの差の「上側」にいるなら、値下げは不可避である。


売却判断フレームワーク③──「在庫件数」の増減で需給を把握する


第三の指標は、在庫件数の推移である。

2026年3月の首都圏中古マンション市場は、成約㎡単価は86.34万円/㎡となり、前年同月比で9.3%上昇した。注目すべきは、これまで減少傾向にあった在庫件数が44,728件と、前年同月比で+1.8%増加に転じた点である。在庫が増加するのは8ヶ月ぶりのことであり、市場に「売り物件」が少しずつ積み上がり始めていることを示唆している。

在庫が増えれば、買い手は選択肢が増える。

買い手に選択肢が増えれば、売り手の交渉力は弱まる。

東京都の中古マンション市場は、都心3区・城東・城南・城北・城西・多摩の6エリアで需給の動きが異なり、在庫数は前年比1.5倍まで膨張している。


売却判断フレームワーク④──「エリア格差」を見極める


第四の指標は、エリアごとの二極化である。

今回の下落は首都圏全域で一斉に価格調整が起きているというよりも、一部エリアの構造変化が平均価格を押し下げている可能性が高い。

一方で、東京都多摩、埼玉県、千葉県、神奈川県では成約件数が前年を上回っており、首都圏全体が一様に弱含んでいるわけではない。

都心は下落、郊外は堅調。

この二極化が進んでいる。

あなたの物件が「どちら側」にいるかで、戦略は180度変わる。


「今売る」べき5つの条件──1つでも当てはまれば即行動


以下の条件に1つでも当てはまるなら、即座に売却活動を開始すべきである。

条件①:都心6区(千代田・中央・港・新宿・文京・渋谷)に物件がある。

条件②:築10年以上で、次の大規模修繕が近い。

条件③:購入時より20%以上値上がりしている。

条件④:住宅ローンの残債が売却予想価格を下回っている。

条件⑤:3年以内に住み替え・資金化の予定がある。

2026年のマンション市場は、価格高騰の恩恵を受けられる一方で、在庫増加や金利上昇といったリスクも混在する転換期にある。

転換期に「待つ」という選択は、リスクを積み上げる行為に等しい。


「待つ」べき3つの条件──焦って損をしないための判断軸


一方で、以下の条件に当てはまるなら、慎重な判断が求められる。

条件①:郊外・近郊で、成約件数が増加傾向にあるエリアである。

条件②:築5年以内で、新築価格との比較で優位性がある。

条件③:周辺で再開発・新駅など価値向上要因が控えている。

ただし、「待つ」にも期限を設けるべきである。

2026年現在は、中古マンション市場が比較的好調な状況にある一方で、住宅ローン金利の上昇や市場の変化により、物件ごとの差が出やすくなっている。そのため、「まだ価格が上がるかもしれない」と待つのではなく、マンションの価値や市場環境を把握したうえで、売却時期を判断することが重要である。


仲介会社に聞くべき3つの質問──営業トークを見抜く


売却を依頼する際、仲介会社に必ず聞くべき質問がある。

質問①:「御社の直近3ヶ月の、このエリアでの成約件数と平均成約日数を教えてください」

質問②:「査定価格の根拠となったREINS成約事例を、具体的に3件見せてください」

質問③:「現在の在庫件数と、同価格帯の競合物件は何件ありますか」

この3つに即答できない会社は、避けるべきである。

現役営業マンの証言では、「高い査定価格を出して媒介契約を取り、後から値下げを迫る」手法が横行している。

成約実績と根拠を示せる会社だけが、信頼に値する。


価格設定の鉄則──「成約相場×0.95」からスタートする


売出価格の設定には、明確な鉄則がある。

REINSの成約事例から導いた相場の95%から始めることだ。

「高く売りたい」という気持ちは理解できる。

しかし、相場を逸脱した価格は、物件を「塩漬け」にするだけだ。

売り手の強気な価格と買い手の予算限界により、成約価格と在庫価格の乖離が過去最大級に拡大している。

売れ残った物件は、やがて「訳あり」のレッテルを貼られる。

初動の価格設定こそが、売却成功の9割を決める。


2026年秋~2027年の市場予測──3つのシナリオ


今後の市場を3つのシナリオで整理する。


【シナリオA:緩やかな調整】

金利上昇は0.25%刻みで緩やかに進み、価格は都心で5~10%調整。郊外は横ばいから微増。


【シナリオB:急速な調整】

金利が1.5%を超え、購買力が急激に低下。都心で15~20%、郊外で10%前後の価格調整。


【シナリオC:現状維持】

円安・インフレが進行し、実物資産としてのマンション需要が価格を下支え。横ばい継続。

野村證券は新たなメインシナリオとして、2026年6月、同年12月、2027年6月に0.25%ポイントずつ利上げすると見込んでいる。

シナリオAからBへの移行リスクは、無視できない水準にある。



編集部まとめ


2026年秋、マンション市場は明らかに「転換期」に入った。

政策金利1%突破、成約㎡単価2ヶ月連続前年割れ、在庫4ヶ月連続増加。

6年以上続いた上昇トレンドは、終わりを告げた。

「待てば上がる」という幻想を捨て、冷静にデータを読むべきである。

金利上昇、購買力低下、在庫増加──この三重の圧力は、今後さらに強まる。

売却判断の4つのフレームワーク(金利、乖離率、在庫、エリア格差)を活用し、自分の物件が「今売るべき」か「待つべき」かを見極めよ。

迷うなら、まず複数の仲介会社から査定を取り、成約事例に基づいた相場を把握することから始めよ。

「知らなかった」で後悔するのは、いつも売主である。

この記事を読んだ今日から、行動を起こす。

それが、転換期を味方につける唯一の方法である。


執筆:マンション売却ジャーナル編集部


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