マンション売却「不動産会社選び」完全ガイド──大手vs中小の違い・仲介と買取の使い分け・担当者の見極めポイントを徹底解説し、売却成功に導くパートナー選定の実践フレームワーク
- 2 日前
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あなたの「不動産会社選び」、まだ「大手だから安心」と思っていないか
マンション売却を決めた瞬間、多くの売主がこう考える。「大手なら安心だろう」「CMで見た会社にしよう」と。
断言する。その直感は、数百万円の損失に直結しかねない。
三井不動産リアルティグループは39年連続で仲介件数ナンバーワンを維持し
、東急リバブル、住友不動産ステップがそれに続く。だが「実績No.1」という看板と「あなたの物件を最高値で売れる」は、イコールではない。
不動産会社選びとは、あなたの資産を託すパートナーを決める行為だ。「なんとなく」で選んでよいはずがない。
「ハロー効果」が判断を曇らせる──大手神話の正体
心理学に「ハロー効果」という概念がある。ひとつの特徴的な印象が、他の評価にまで影響を及ぼす認知バイアスだ。
「大手=CMで見る=信頼できる=高く売れる」。この連想は、まさにハロー効果の典型例だ。
大手不動産会社は知名度と広告力、全国規模のネットワークを持ち、地域外の顧客へのアプローチも可能だ。これは事実である。
しかし、大手不動産仲介会社には「対応の事務的さ」や「柔軟性の乏しさ」というデメリットがある。また、顧客数が多く、両手仲介になりやすいため、売主に不利な値下げ交渉が発生することも
ある。
スーパーで買い物をするとき、あなたは「大手チェーンだから」という理由だけで商品を選ばないだろう。価格、品質、自分のニーズに合っているかを確認するはずだ。不動産会社選びも同じである。
大手vs中小──本当の違いは「どこ」にあるのか
大手と中小企業ではメリット・デメリットが異なるため、「どちらが良い」という明確な答えはない。
大手不動産会社の強みは明確だ。
豊富な資金力により広告宣伝に高額の予算を割けるため、売買仲介依頼したあとの物件周知力が強い。また、元から顧客情報量が多く、いわゆるリストを抱えているため、売却先を選ぶ際の選択肢が豊富
である。
一方、中小の不動産会社は規模は大きくないが、その分地域密着型というケースが多い。担当者がその地域に長く住んでいることもあり、地域の詳細な情報を持っている傾向がある。
地元の中小不動産会社は、売主のみを顧客とする片手仲介が多く、売主の利益を優先した提案を受けやすい。
これを身近な例で説明しよう。大手は全国チェーンの家電量販店だ。品揃え豊富で価格競争力がある。中小は地元の電器店だ。あなたの家の配線状況まで知っていて、困ったときに駆けつけてくれる。どちらが良いかは、あなたが何を求めるかで決まる。
物件タイプ別・最適な不動産会社の選び方
では、具体的にどう選べばよいか。物件タイプ別に整理する。
立地が良い物件や最新の設備を有している物件は長く人気が続き、タイミングによっては高い値段で売却できる傾向にある。こうした優位性を持った物件は売り手優勢で、大手不動産会社に依頼して広く広告活動を行ってもらい、買い手の分母をできるだけ大きくし、その中から最も高額提示の買い手を見つけることが王道
だ。
反対に、田舎や人口が少ないエリアの物件に関しては、中小の不動産会社に依頼するといい。地域のことをよく理解している地場の不動産業者の方が、特徴を活かしたご案内ができる。
築年数が古い物件を売却したい方には、中小の不動産会社をおすすめする。古い物件は価値がつきづらいので、売却後の不動産会社への利益も少なくなる傾向にあり、利益をしっかり考える大手不動産会社からは、取り扱ってもらえないこともある。
仲介か買取か──「急ぎ」と「高値」は両立しない
不動産会社を選ぶ前に、売却方法の選択肢を理解しておく必要がある。
不動産を売却するには、主に「仲介」と「買取」の2つの方法がある。どちらを選ぶかによって、売却価格やスピード、手間などが大きく変わる。
仲介とは、不動産会社が売主と買主の間に入り、売買契約の成立をサポートする売却方法だ。不動産会社は、広告活動などを行って広く購入希望者を探し、内覧の調整や価格交渉、契約手続きなどを進める。
買取とは、不動産会社が買主として、売主から物件を直接買い取る売却方法だ。一般の購入希望者を探す必要がなく、売主と不動産会社の条件が合えば、すぐに売買契約が成立する。
仲介での成約価格が市場相場価格と同程度であることに対して、買取での成約価格は仲介で売却した場合の約6~8割になる。
マンション買取には「早く売れる(仲介=3~6カ月、買取=早ければ2週間程度)」「売却した後にクレームが来ることがない(契約不適合責任免責)」というメリットがある。一方で、「仲介手数料は発生しないが、売却金額は仲介で売れる相場価格の7~8割、物件の立地や状態によっては5割未満の金額になってしまう」点がデメリットだ。
経済学でいう「トレードオフ」の関係である。スピードを取れば価格を犠牲にし、価格を取れば時間を犠牲にする。両方を同時に手に入れる魔法はない。
買取保証という「第三の選択肢」
仲介業務も兼ねる不動産会社の場合、一定期間市場での売却活動を行い、買主が現れない場合、当初約束した金額で買い取ることを保証するサービスもある。これを「買取保証」という。期間を決めて希望額での売却を希望する場合、利用できるサービスだ。
住み替えのタイミングが決まっている売主、相続税の支払い期限がある売主には、この買取保証が有効な選択肢となる。
両手仲介と囲い込み──業界の構造的問題を知る
不動産会社選びで最も注意すべきは「囲い込み」だ。
「囲い込み」とは、売主から不動産の売却を依頼された不動産仲介会社が他社に物件情報を開示しなかったり、客付けを拒んだりすることで、意図的に「両手取り引き」で売買を成立させようとする行為を指す。
両手仲介をすると、報酬が約2倍〜3倍になるから、囲い込みは起きる。片手仲介は売主さま・買主さまの一方からのみ仲介手数料をもらうのに対し、両手仲介は売主さま・買主さまの双方からもらえる。たとえば5,000万円の物件なら、片手仲介で約156万円、両手仲介で約312万円になる。
大手不動産仲介では「囲い込み」が蔓延しており、住友は50%で三井は約40%という両手取引比率
を示すデータもある。
国土交通省は2024年6月、宅建業法施行規則を改正し、2025年以降に「囲い込み」が確認された宅建業者は指示処分の対象となった。
しかし、REINSに掲載し、取引情報も偽りなく登録していたとしても「商談中」「内見の都合が合わない」などと言われてしまえば、真偽を立証することはまずできない。
囲い込みを見抜く「3つのチェックポイント」
では、売主はどうすれば囲い込みを見抜けるのか。
囲い込みが行われると、物件情報が市場に十分公開されないため、内見希望者や購入検討者と出会う機会自体が激減する。
チェックポイントは3つだ。
第一に、レインズへの登録確認だ。専任媒介契約を結んだら、売主はレインズの登録証明書を受け取る権利がある。これを必ず受け取り、自分の物件が正しく登録されているか確認せよ。
第二に、内見・問い合わせ件数の確認だ。相場価格で売り出しているにもかかわらず、1カ月経っても内見が1件も入らなければ、囲い込みを疑う必要がある。
第三に、他社への問い合わせテストだ。知人に頼んで、他の不動産会社から自分の物件について問い合わせてもらう。「商談中」「案内不可」と言われたら、囲い込みの可能性が高い。
担当者の見極め──会社より「人」で選べ
不動産会社選びと営業担当者選びのどちらが良い物件を買うのに、もしくは高く売るために重要なのか。それは営業担当者の方だ。その理由は、不動産を正しく把握して、分かりやすく伝えられてこそ思い描いている不動産を買えるし、売れるからだ。これは不動産会社ではなく、現場にでる担当者がすることだから、比重が高い。
会社の規模によって決まるものではない。不動産会社に売却を依頼するのだが、実際は自分の不動産を売ってくれるのは「担当営業マン」だ。担当の営業マンを見極めない限りは、自分が望む売却はできない。
信頼できる担当者を見極める「5つの質問」
現役営業マンの証言では、以下の5つの質問への回答で、担当者の力量は測れるという。
第一の質問は「この物件の査定価格の根拠を教えてください」だ。
査定額が高いか安いかだけでなく、その金額に至った根拠が明確であるかどうかが重要だ。周辺の類似物件の成約事例や現在の市場動向、物件固有の強みや弱みなどを踏まえた、客観的で納得のいく説明があるかを確認
せよ。
第二の質問は「このエリアでの売却実績を教えてください」だ。
地域情報に精通していると、より効果的な販売戦略を立てることができ、適正な価格で早期売却できる可能性が高まる。
第三の質問は「宅建士の資格はお持ちですか」だ。
「宅地建物取引主任者」は、マンションなどの不動産売買をする不動産担当者が持っているべき資格だが、担当者の保有率は100%ではないので必ず確認せよ。
第四の質問は「両手仲介にこだわらずに探してくれますか」だ。
契約前に仲介担当者に「両手仲介にこだわらずに探してくれますか?」と聞いてみる方法がある。曖昧な回答をする担当者は避けるべきだ。
第五の質問は「売却活動の報告頻度を教えてください」だ。定期的な報告を約束し、実際にその通りに報告してくれる担当者は信頼できる。
「高すぎる査定額」に騙されるな
不動産会社選びで最も多い失敗パターンがある。「一番高い査定額を出した会社に決めてしまう」という判断だ。
言葉巧みに高額査定(相場からかけ離れた金額)をしてなかなか売れずに時間が経過し、ほったらかしにしている場合もある。一番高く査定してくれたからという理由でその仲介会社を選ぶと、このように"売れない"というリスクを伴う。
これは「アンカリング効果」を悪用した手法だ。最初に高い数字を見せられると、その数字が基準となり、後から提示される数字が低く感じてしまう。
ある大手仲介会社では、「まず高めの査定で媒介契約を取り、売れなければ徐々に値下げ提案する」という営業手法が暗黙の了解となっている。売主が「この会社が一番高く評価してくれた」と錯覚している間に、3カ月が経過する。そして「市場の反応を見ると、この価格では厳しいですね」と値下げを迫る。
査定額は「売れる価格」ではない。「この価格で売り出してみましょう」という提案に過ぎない。複数社の査定を取り、その根拠を比較せよ。
複数社への査定依頼が「必須」である理由
売主にとって一番適した不動産会社を選ぶためには、複数社に査定を依頼し比較することが大切だ。この際に、大手不動産会社と地域密着型不動産会社のいずれにも査定を依頼してみると良い。
最も重要なのは、複数の仲介業者に査定を依頼し、それぞれの提案内容や対応を比較検討することだ。大手2社程度と地元業者2社程度に査定を依頼し、査定価格だけでなく、その根拠や販売戦略、担当者の対応の質まで総合的に判断
せよ。
なぜ複数社への依頼が必須なのか。理由は3つある。
第一に、相場観を養うためだ。1社の査定額だけでは、それが高いのか低いのか判断できない。3〜4社の査定額を比較することで、自分の物件の市場価値が見えてくる。
第二に、担当者を比較するためだ。査定額が同じでも、担当者の説明力、熱意、専門知識には差がある。
第三に、囲い込みリスクを下げるためだ。複数社に査定を依頼したことを各社に伝えれば、囲い込みをしづらくなる。
媒介契約を結ぶ前に確認すべき「契約書の落とし穴」
査定を終え、依頼する不動産会社を決めたら、媒介契約を結ぶ。ここにも注意点がある。
契約書に「広告費の売主負担」という条項がないか確認せよ。通常、広告費は不動産会社の負担だが、一部の会社は特別な広告を打つ場合に売主負担を求めることがある。
契約期間も確認せよ。専任媒介契約の法定上限は3カ月だ。3カ月経過しても売れなければ、契約を更新せず、他社に切り替えることも選択肢だ。
レインズへの登録義務についても確認せよ。専任媒介契約では7日以内、専属専任媒介契約では5日以内にレインズへ登録する義務がある。この義務を果たさない会社は、そもそも信頼に値しない。
売却活動中に注意すべき「3つの危険信号」
媒介契約を結んだ後も、油断は禁物だ。以下の3つの危険信号が出たら、契約解除を検討せよ。
第一の信号は「報告がない」だ。専任媒介契約では2週間に1回以上、専属専任媒介契約では1週間に1回以上の報告義務がある。これを怠る会社は論外だ。
第二の信号は「値下げ提案ばかり」だ。売却開始から1カ月も経たないうちに「値下げしましょう」と言い出す担当者は、販売努力を怠っている可能性がある。
第三の信号は「他社からの問い合わせ状況を教えない」だ。他社からどれだけ問い合わせがあったか、なぜ成約に至らなかったかを報告しない会社は、囲い込みをしている可能性がある。
担当者を変えたいと思ったときの対処法
多くの人が不動産売却の担当者との不一致を経験している。対応の遅れや相性の問題で、担当者の変更を考えることは珍しくない。時には、不動産会社自体を変更することが最善の選択となる場合もある。
担当者を変更してもらった結果、「とても満足」したのが35.9%、「やや満足」したのが61.5%だった。不動産会社の担当者を変更して、満足した方は多い。
担当者の変更は、遠慮なく申し出てよい。あなたは数千万円の資産を託しているのだ。相性が悪い、対応が悪いと感じたら、すぐに変更を依頼せよ。
売主が持つべき「交渉力」の正体
不動産会社との関係で、売主は常に「お願いする側」だと思い込んでいないか。
実際は逆だ。不動産会社は「売却案件」を欲しがっている。なぜなら、売却案件を持っていなければ、仲介手数料という収入を得られないからだ。
あなたの物件は、不動産会社にとって「商材」だ。良い条件の物件であれば、各社が競って媒介契約を結びたがる。この関係性を理解していれば、担当者への要求も遠慮なくできるようになる。
「レインズへの登録状況を報告してください」「他社からの問い合わせ件数を教えてください」「値下げではなく、広告を増やしてください」。こうした要求は、売主の当然の権利だ。
編集部まとめ
不動産会社選びは、マンション売却の成否を決める最重要事項だ。
「大手だから安心」は幻想だ。大手には大手の強みがあり、中小には中小の強みがある。あなたの物件と状況に合った会社を選ぶことが正解だ。
「一番高い査定額」に飛びつくな。高すぎる査定は、売れ残りと値下げの入り口だ。
「会社」より「担当者」で選べ。最終的にあなたの物件を売るのは、会社ではなく一人の担当者だ。
「囲い込み」に警戒せよ。2025年から処分対象になったとはいえ、完全に撲滅されたわけではない。
これらを理解していれば、あなたは不動産会社に「選ばれる売主」ではなく、不動産会社を「選ぶ売主」になれる。それが、数百万円の差を生む第一歩だ。
執筆:マンション売却ジャーナル編集部




