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「同じマンションなのに、なぜ査定額が違うのか」──不動産会社ごとに価格が変わる5つの理由

  • 2025年12月19日
  • 読了時間: 5分

 マンション売却を考えて複数の不動産会社に査定を依頼すると、会社ごとに提示される金額が大きく異なることがある。 「同じ物件なのに、なぜ数百万円も違うのか」と戸惑うオーナーは多い。

 この差は、不動産会社が適当に数字を出しているわけではない。査定額の違いには、会社ごとの分析方法・市況の読み方・売却戦略の違いが反映されている。

 本稿では、査定額がなぜ会社によって異なるのかを整理する。「どの会社を信じれば良いのか」という判断材料にしてほしい。




査定額の差は「データ × 分析 × 戦略」の組み合わせで生まれる


 不動産会社が査定額を算出する際に使うのは、大きく3つだ。 まず、周辺の成約データ(レインズなど)。次に、マンション固有の特徴(階数・眺望・管理状態など)。そして、売却戦略(高く売るのか、早く売るのか)。

 この3つのバランスが会社ごとに異なるため、査定額に差が生まれる。


理由1:参考にする成約事例が会社ごとに違う

 査定額のベースになるのは「成約事例」だ。同じマンションでも、どの時期の事例を重視するか、同じマンション内の事例に強いか、エリア全体を広く見るかで、使うデータが変わってくる。

 成約事例は1件変わるだけでも査定額が上下することがある。そのため、参照する事例の選び方次第で、会社間に数百万円の差が生まれることも珍しくない。


理由2:市況の読み方に違いがある

 マンション価格は市場の動きによって変化する。同じデータを見ていても、金利の影響をどう捉えるか、需給バランスをどう読むか、エリアの将来性をどこまで織り込むかで、判断は変わってくる。

 市況の分析は会社や担当者の経験によって解釈が異なるため、そのまま査定額の差として現れる。特に金利上昇局面や再開発期待があるエリアでは、読み方による差が大きくなりやすい。


理由3:売却戦略の違い

 不動産会社は「いくらで売れるか」だけでなく、「どう売るか」を想定したうえで査定額を出している。

 たとえば、早期売却を重視する会社は適正価格に近い(やや控えめな)数字を出す。内覧数を集めて競争させる戦略を取る会社は、強気の価格設定になりやすい。一方で、高めの査定を出して媒介契約を取り、その後に値下げを促すケースには注意が必要だ。

 「最初に一番高い査定を出した会社が一番良い」とは限らない。なぜその金額なのかの根拠を確認することが重要だ。


理由4:マンション固有の特徴の評価が異なる

 データだけでは測れないマンションの個別要素は、会社によって評価が分かれやすい。

 たとえば、同じ階数でも眺望の価値をどう見るか、日当たりや静かさをどう数字に反映するか、リフォーム履歴や設備の状態をプラス材料として評価するかどうかは、担当者の判断に委ねられる部分が大きい。

 管理状態の評価も同様だ。管理組合の運営状況や修繕積立金の充実度を丁寧に評価する会社もあれば、表面的な条件だけを見る会社もある。この差が、査定額の幅につながる。


理由5:担当者の経験値と物件理解度が異なる

 どれだけ良い会社でも、担当者の経験値によって査定の精度は変わる。同じマンションの売却実績があるか、エリアの取引に精通しているか、物件の強みをどこまで理解しているかで、価格の説得力は大きく異なる。

 経験豊富な担当者は、価格の根拠が明確で説明が一貫している。「この価格の理由を教えてください」という質問への答え方が、担当者の実力を測る一つのバロメーターになる。 図1| 査定額が会社ごとに異なる5つの理由と、それぞれの査定額への影響 ※理由③「売却戦略」は特に注意が必要。高額査定には囲い込みのリスクが伴う場合がある。


査定額が会社ごとに異なる5つの理由
査定額が会社ごとに異なる5つの理由



  査定額の「高い・低い」だけで判断しないための視点


 複数社の査定を受けたとき、最も高い金額に飛びつきたくなるのは自然な心理だ。しかしその数字が、実際に市場で成立するかどうかは別の問題だ。

 重要なのは以下の3点を確認することだ。 なぜその金額なのかの根拠が説明できるか。比較した成約事例はどれか。売却にかかる想定期間はどれくらいか。


 査定額はあくまで「入口」に過ぎない。本当に重要なのは、その価格で実際に売れるかどうかだ。




  「査定額が高い会社」より「根拠が明確な会社」を選ぶ


 査定額に差がある場合、最も信頼できるのは根拠が明確な会社だ。

 「最近この価格帯で成約した事例がある」「このエリアでは今この層の買主が動いている」「このマンションはこの点が強みで、この価格帯なら〇週間以内での成約が見込める」──こうした具体的な説明ができる会社ほど、実際の売却でも頼りになる。


 逆に、根拠が曖昧なまま高い数字だけを提示する会社には注意が必要だ。「まずは高めで出してみましょう」という提案は、長期化・値下げのリスクを含んでいる。 図2| 複数社の査定を受けた後、信頼できる会社を見極めるための判断フロー

※OK例・NG例を参考に、根拠の明確さで会社を選ぶことが売却成功の第一歩になる。

信頼できる会社の見極め方
信頼できる会社の見極め方


編集部まとめ


 査定額が会社ごとに違うのは、不誠実さの表れではない。データの使い方、市況の読み方、売却戦略、個別評価、担当者の経験値──それぞれの違いが積み重なった結果だ。


 だからこそ重要なのは、査定額の数字だけを比較するのではなく、「なぜその金額なのか」を確認することだ。

 根拠が明確で、実際の市場感覚と一致している会社を選ぶことが、売却の成否を左右する最初の判断になる。


執筆:マンション売却ジャーナル編集部


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