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東京・準都心エリアマンション売却の最前線──渋谷㎡単価210万円・世田谷102万円・目黒166万円が示す「都心隣接×再開発」エリアの資産価値構造と、渋谷サクラステージ・中目黒37階タワー・桜新町リニューアルが牽引する渋谷区・世田谷区・目黒区・杉並区・新宿区エリア別売却戦略を徹底解説(エリア分析)

  • 7月28日
  • 読了時間: 10分

  準都心マンションを「まだ買い手がすぐ見つかる」と思っていないか


 あなたは、渋谷、世田谷、目黒、杉並、新宿といった「東京・準都心エリア」にマンションを持っていないだろうか。

「都心に近いから売れるはず」──その思い込みが、売却判断を狂わせる。

2026年5月、首都圏中古マンションの成約坪単価は前年同月比3.9%下落の266.6万円となり、2020年4月以来73か月ぶりに下落へ転じた。

「持っていれば上がる」と言われてきた首都圏の中古マンション市場だが、2026年5月データによって、その神話は終わりを告げたといえる。

都心ほど高くはない。だが郊外ほど安くもない。準都心は「間に挟まれた」エリアだ。

だからこそ、売却タイミングの判断が極めて難しい。



  「アンカリング効果」が売り出し価格を歪める


 行動経済学には「アンカリング効果」という概念がある。

最初に提示された数字が、その後の判断基準を無意識に支配する現象だ。

準都心エリアの売主が陥りがちな罠がここにある。

3年前、5年前の「○○万円で売れた」という近隣事例を見て、自分の物件も同水準で売れると信じてしまう。

2026年5月の首都圏中古マンション市場は、成約件数が2か月連続で減少し、成約㎡単価も73か月ぶりに前年同月を下回るなど、これまでの強い上昇基調に変化が見られる月となった。

ある大手仲介会社の営業マンは証言する。「売主が提示した価格と成約価格の乖離が、この半年で急激に広がっている」と。

アンカリングに囚われたまま売り出し価格を設定すれば、長期間売れ残り、結果として大幅値引きを余儀なくされる。



  準都心5区の相場構造を知る


 準都心エリアは一枚岩ではない。

2026年5月、渋谷区の平均売買価格は14,724万円(210万円/㎡)を記録している。

目黒区の2026年6月時点での売却相場は、約166万円/㎡(549万円/坪)である。

新宿区のマンション売却価格の相場は1億1,136万円、平米単価は162.06万円となっている。

杉並区の平均売買価格は6,826万円(98万円/㎡)で、過去9年で46.4%上昇している。

世田谷区はどうか。

マンション売却価格は7,009万円/70㎡となっている。

これを㎡単価に換算すると約100万円だ。

渋谷210万円、目黒166万円、新宿162万円、世田谷102万円、杉並98万円。

同じ「準都心」でも、渋谷と杉並では㎡単価に2倍以上の格差がある。

この格差構造を理解せずに売却戦略は立てられない。


図1|東京・準都心5区 中古マンション㎡単価比較(2026年5-6月時点、各種データより編集部作成)
図1|東京・準都心5区 中古マンション㎡単価比較(2026年5-6月時点、各種データより編集部作成)


  再開発という「見えない価格上昇圧力」


 準都心エリアを支えているのは、連鎖する再開発プロジェクトだ。

スーパーに例えれば、改装中の店舗に客は来ない。だが改装後は「きれいになった店」として集客力が跳ね上がる。

不動産も同じ論理で動く。

渋谷駅周辺は、東京の中でも特に変化のスピードが速く、この10年で大きく進化したエリアだ。近年の大規模再開発により、グローバル企業やIT・スタートアップが集積するビジネス拠点としての側面が急速に強まっている。

道玄坂二丁目南地区第一種市街地再開発事業は、2027年2月末の竣工まで残り約11ヶ月。渋谷マークシティに直結する地上30階・高さ約155mの超高層複合タワーが姿を現す段階に入っている。

中目黒エリアは、駅北東側の「中目黒駅前北地区第一種市街地再開発事業」が都市計画決定(2026年度予定)という重要な節目を迎えた。地上37階・高さ約160mのタワーマンション建設が具体化したことで、エリア全体の将来性への期待が地価を一段と押し上げている。

世田谷区では、田園都市線地下区間5駅リニューアルプロジェクト「Green UNDER GROUND」の第2弾として、桜新町駅のリニューアル工事が進行中で、2026年に竣工予定だ。

「新宿グランドターミナル構想」は、新宿駅を中心に西新宿・代々木・歌舞伎町・新宿御苑の各エリアを歩行者デッキで繋ぎ、駅・駅前広場・駅ビルを一体的に再編するという都市計画の大方針だ。2040年代に全体が概ね完成する見込みである。

再開発の「前」に売るか、「後」に売るか。この判断で手取り額は大きく変わる。



  渋谷区──「都心超え」を果たした再開発最前線


 渋谷区のマンション市場は、もはや「準都心」の枠を超えた。

渋谷駅の2026年公示地価の平均は1012万2777円/m2で、前年からの変動率は+13.25%の上昇である。

渋谷区における2026年の住宅地の地価・土地価格は坪単価616万円/坪で、前年に比べて+13.5%上昇している。

渋谷サクラステージは2024年7月25日に全面開業した。専門家は「予想以上にうまくいっている」と評価する。

渋谷二丁目西地区第一種市街地再開発事業(2029年度以降竣工)、宮益坂地区第一種市街地再開発事業(2031年度竣工・開業予定)、道玄坂二丁目南地区第一種市街地再開発事業(2027年竣工予定)、Shibuya Upper West Project(2029年度竣工予定)と、複数の大型プロジェクトが同時並行で進む。

渋谷区でマンションを売る場合、再開発の進捗を「売却の追い風」として活かせる。

ただし注意点がある。

渋谷区では100戸以下の中規模マンションが多く、1R・1K・1LDKの単身・DINKS向け物件が中心だ。

ファミリー向け3LDKは供給が少ない分、希少性で価格が維持されやすい。逆にワンルームは競合が多く、差別化が求められる。



  世田谷区──「均衡市場」の落とし穴


 世田谷区は、準都心エリアの中で最も「売り手と買い手が拮抗する」市場だ。

2026年1月の世田谷区中古マンション市場は、売り手と買い手の力が拮抗する「均衡」状態にある。全95件の取引のうち、半数以上(54.7%)は値引きなしの「満額」で成約している一方で、残る45.3%の物件では何らかの値下げ交渉が発生している。

値下げが行われた場合でも、全体の中央値は約3.5%に留まり、双方が数十万円~数百万円程度の「端数調整」で合意形成を図るのが現在のメインストリームとなっている。

つまり、世田谷区では「適正価格」で出せば売れる。だが「強気価格」で出せば長期化する。

世田谷区内を駅圏内とする駅で最も高価格なのは自由が丘駅(341万4000円/m2)、最も低価格なのは和泉多摩川駅(29万7500円/m2)だ。

同じ世田谷区でも、自由が丘と和泉多摩川では11倍以上の格差がある。「世田谷区」という区名で相場を語ることに意味はない。

三軒茶屋、二子玉川、駒沢、桜新町、経堂、千歳船橋──それぞれの駅で市場は異なる。



  目黒区──「住みたい街」の資産価値


 目黒区は「住みたい街ランキング」常連の人気エリアだ。

中目黒エリアの中古マンション価格は、2026年2月時点で平均売買価格が約1億370万円(164万円/㎡)を記録。特に築浅の優良物件や目黒川沿いの高台(青葉台方面)では、坪単価は平均600万円~800万円超に達している。

目黒区の物件価格は、直近1年間で約16.1%上昇している。「住みたい街ランキング」では常に上位にランクインしており、不動産価格も高水準を維持している。

中目黒駅前北地区再開発準備組合は、高さ約160m、地上37階建て・地下5階建ての超高層ビルを建設する計画だ。事業協力者は丸紅都市開発と東急で、2033年度の竣工を目指している。

再開発完了まで7年。この期間をどう捉えるか。

「再開発前に売り抜ける」か、「再開発完了後の上昇を待つ」か。

現役営業マンの証言では、「再開発前の今のうちに売却して、上昇益を確定したい」という売主が増えているという。



  杉並区──「中央線の王道」と「穴場」の二極


 杉並区は、準都心5区の中で最もコストパフォーマンスが高いエリアだ。

2026年最新データにおける平均㎡単価は100万円超をマークしており、売却相場は非常に強い過去最高水準を維持している。

杉並区の2026年公示地価の平均は93万0151円/m2で、前年からの変動率は+10.82%の上昇だ。

荻窪駅北口駅前の再開発「杉並区上荻1丁目計画」が進行中だ。地下1階地上16階で、1・2階は店舗、3~16階は共同住宅、完成は2030年9月予定である。

杉並区の坪単価は平均233万円。ただしエリアによって1.4倍の価格差がある(坪183万~258万円)。

荻窪・阿佐ヶ谷・高円寺のJR中央線沿線と、永福町・浜田山・高井戸の京王井の頭線沿線で市場性が異なる。

中央線沿線は単身者・DINKSからの需要が強く、回転が速い。井の頭線沿線はファミリー層の実需が中心で、腰を据えた売却が可能だ。



  新宿区──「西と東」で別の市場


 新宿区は、東京都心3区(千代田・中央・港)に隣接する「準都心の中の都心寄り」エリアだ。

新宿区のマンション価格は1年前と比べて22%上昇し、3年前と比べると57.2%上昇、5年前と比べると73.6%上昇している。

新宿区の不動産価値は「新宿区に住んでいる」ということよりも「新宿区のどこに住んでいるか」で決まる。東半分なら都心3区と競合する市場、西半分なら城西エリアの住宅地市場だ。

新宿駅周辺エリアでは、今後2046年頃までを目途に、JR新宿駅の東西・間近地区を中心とした大規模再開発が予定されている。「グランドターミナル構想」に基づき、東西に260m級の超高層ビルとJR駅上空広場など、オフィスビルや商業複合施設の建設が進む予定だ。

西口の明治安田生命ビル跡地(西新宿一丁目地区プロジェクト)は2026年夏に竣工を控えている。

四谷・信濃町・市ヶ谷は都心3区レベルの高価格帯。落合・高田馬場は中野区・豊島区との境界エリアとして比較的手が届きやすい価格帯。

この「区内二極化」を理解しなければ、適正な売却価格は設定できない。



  「損失回避バイアス」との戦い


 行動経済学が明らかにしたもうひとつの法則が「損失回避バイアス」だ。

人は利益を得る喜びより、損失を被る痛みを2倍強く感じる。

「もう少し待てばもっと高く売れるかもしれない」──この心理が売却判断を遅らせる。

首都圏の中古マンション在庫件数は45,804件で前年同月比プラス3.4%となり、3か月連続で増加している。市場に物件がダブつき始めているサインだ。一方、千葉県、神奈川県、埼玉県、多摩と、都心以外の周辺エリアでは成約件数が増加している。

準都心エリアは、都心から流出した需要を受け止める「受け皿」となる可能性がある。だが同時に、郊外への需要シフトによって「通過点」になる可能性もある。

損失回避バイアスに囚われて「もう少し待とう」を繰り返すうちに、最適な売却タイミングを逃す売主は少なくない。



  今日から使える「売却判断の3つの質問」


 準都心エリアでマンション売却を検討するなら、以下の3つの質問を自分に投げかけてほしい。

第一の質問──「再開発は完了前か、完了後か」。

再開発の途中段階では、期待値が価格に織り込まれている。完了後は実態が評価される。どちらで売るかで戦略が変わる。

第二の質問──「競合物件は何件出ているか」。

同じマンション、同じ駅圏で売り出されている物件数を確認せよ。競合が多ければ価格競争に巻き込まれる。

第三の質問──「成約価格と売り出し価格の乖離はどの程度か」。

ある大手仲介会社の内部データでは、準都心エリアの乖離率は平均5~8%。これを超える価格設定は「売れない価格」だ。



  準都心エリアの「正しい価格設定」とは


 価格設定は、スーパーの値札と同じだ。

高すぎれば手に取られない。安すぎれば利益が削られる。

準都心エリアの適正価格は、以下の3ステップで導き出す。

ステップ1──REINSの成約事例を仲介会社に開示してもらい、過去6か月の同条件物件の成約価格を確認する。

ステップ2──現在売り出し中の競合物件をチェックし、自物件の相対的な優位性・劣位性を把握する。

ステップ3──成約価格の中央値から±5%の範囲で売り出し価格を設定する。

この手順を踏めば、「売れる価格」と「売れない価格」の境界線が見える。



  仲介会社への「2つの確認事項」


 準都心エリアの売却では、仲介会社選びも重要だ。

確認すべき事項は2つ。

第一に、「このエリアで過去1年間に何件成約したか」を聞く。

エリア密着で実績がある会社は、買い手の属性や価格交渉のパターンを熟知している。

第二に、「売り出し価格と成約価格の平均乖離率はどの程度か」を聞く。

乖離率が大きい会社は、高い査定額で媒介契約を取り、後から値下げを迫る可能性がある。



  2026年後半──準都心エリアの売却環境


 首都圏は約6年連続で上昇したが、2026年5月に成約坪単価が73か月ぶり下落と潮目が変化している。

エリア別の成約㎡単価では、東京都区部が131.24万円/㎡で前年同月比プラス2.0%と2020年5月から73か月連続で上昇している。

つまり、首都圏全体では下落が始まったが、東京23区は依然として上昇基調を維持している。

準都心エリアは、この「23区プレミアム」の恩恵を受けられる立地だ。

だが、その恩恵がいつまで続くかは誰にもわからない。

確実なのは、「売却を決断しなければ、市場環境の変化は待ってくれない」ということだ。



編集部まとめ


東京・準都心エリア(渋谷区・世田谷区・目黒区・杉並区・新宿区)は、都心に近い利便性と、郊外よりも堅調な相場を併せ持つ。

渋谷210万円/㎡、目黒166万円/㎡、新宿162万円/㎡、世田谷102万円/㎡、杉並98万円/㎡と、区ごとの格差は大きい。

渋谷サクラステージ、中目黒37階タワー、桜新町駅リニューアル、新宿グランドターミナル、荻窪駅前再開発──連鎖する再開発が相場を下支えする。

だが、2026年5月に首都圏成約坪単価が73か月ぶりに下落した事実は軽視できない。

「まだ上がる」というアンカリング効果、「もう少し待てば」という損失回避バイアス。この2つの心理バイアスを認識し、データに基づいた冷静な判断ができれば、準都心エリアでの売却で損をしない。

これが、高値圏にある今だからこそ必要な売却戦略の第一歩だ。


執筆:マンション売却ジャーナル編集部


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