東京23区マンション売却の最前線──新築平均1.1億円・19区が1億超え・中古㎡単価136万円が示す「史上最高値圏×区格差7倍」の資産価値構造と、都心6区・城南・城北・城東エリア別売却戦略を徹底解説
- 7月27日
- 読了時間: 17分
「高いから売れる」と思っていないか
あなたは今、東京23区にマンションを持っている。
「史上最高値だから、今が売り時」と思っていないか。
東京都区部(23区)の中古マンション成約㎡単価は136.10万円/㎡に達している。
新築マンションは2026年の調査で23区中19区が平均価格1億円を超えた。
数字だけ見れば、確かに「売り時」に見える。
だが、23区という「ひとくくり」で判断する売主が損をする。
中古マンション70㎡換算でトップの千代田区は2億45万円、最下位の足立区は3675万円──トップと最下位では5.45倍もの開きがある。
23区は一枚岩ではない。
都心6区と城北・城東では、まったく別の市場が動いている。
「アンカリング効果」が売主の判断を狂わせる
心理学に「アンカリング効果」という概念がある。
人は最初に提示された数字に無意識に引きずられ、その後の判断を歪めてしまう。
今年の東京23区平均は1億6,684万円、平均平米単価も230.5万円と昨年の過去最高額を更新した。
この数字がアンカーとして機能し、売主は「うちもこれくらいで売れるはず」と思い込む。
だが現実は異なる。
千代田区の平均平米単価は427.9万円で唯一の「最上位価格帯(400万円超)」である一方、平米単価100万円から200万円の「標準・中堅価格帯」には9区が位置している。
23区平均というアンカーに惑わされた売主は、自分のマンションの実力を見誤る。
史上最高値圏──23区マンション価格の「現在地」
東京23区のマンション市場は、2026年現在、史上最高値圏にある。
2025年の東京23区新築マンション平均価格は1億3,613万円・㎡単価210.9万円。都心6区(千代田、中央、港、新宿、文京、渋谷)は平均1億9,503万円、㎡単価287.9万円に達した。
中古マンションの成約件数は2023年に16,154戸、2024年には16,569戸、2025年には21,912戸と過去最高を更新している。
首都圏の中古マンション成約㎡単価が86.34万円となり、1990年9月のバブル期最高値(85.50万円/㎡)をついに超えた。
バブル崩壊から35年。
東京23区のマンションは、ついに「あの時代」を超えた。
新築は「1億円超え」が当たり前になった
2026年の新築マンション平均価格の最高額は千代田区の3億5,150万円で、東京23区で唯一の3億円台。次いで2億円台のエリアが6区、1億円台のエリアが12区となっている。
調査開始以降初めて、墨田区、荒川区、板橋区、足立区の4区で平均価格が1億円を突破した。
かつて「庶民の街」と呼ばれた城北・城東エリアでさえ、新築マンションは1億円が標準になった。
この事実が意味するのは明白だ。
中古マンションの成約が過去最高となる要因としては、新築マンションの供給減少による品薄、実需層の厚い1億円未満で購入可能であること、立地条件に優れた中古マンションは資産価値を維持(或いは値上がり)していることなどが挙げられる。
新築が高すぎて、実需層は中古に流れている。
中古マンションの売主にとって、これは追い風だ。
「区格差7倍」という現実を直視せよ
23区は、同じ東京都でありながら、7つの異なる市場を内包している。
千代田区の平均平米単価は427.9万円。平米単価200万円から300万円(上位・準高位価格帯)に9区が集中し、平米単価100万円から200万円(標準・中堅価格帯)の9区は価格上昇が緩やかに推移している。
最も高い港区(225万円/㎡)と最も安い足立区(58万円/㎡)では約3.9倍の差がある。
これをスーパーマーケットに例えよう。
同じ「リンゴ」でも、成城石井と業務スーパーでは価格が3倍違う。
だが、業務スーパーのリンゴを成城石井の価格で売ろうとしても売れない。
マンション売却も同じだ。
自分のマンションが「どの棚」に並ぶ商品なのかを正確に把握することが、売却成功の第一歩となる。
都心6区──「売り出し価格」に調整の兆し
都心6区(千代田・中央・港・新宿・文京・渋谷)は、東京23区の中でも別格の存在だ。
東京23区では、千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、江東区、品川区、目黒区、世田谷区、渋谷区、中野区、杉並区、豊島区の14区で平均価格が1億円を超えた。
平均騰落率が最も高かった港区では新築分譲時プラス147.0%(新築時価格の約2.5倍)、2番目に高かった千代田区でも平均騰落率がプラス138.6%(新築時価格の約2.4倍)となった。
10年前に購入したマンションが、いま倍以上の値段で売れる。
これが都心6区の現実だ。
だが、変化の兆しも見えている。
東京23区の売出し価格(70㎡換算)は1億2,349万円(2026年2月時点)と22か月連続で上昇する一方、都心6区(千代田・中央・港・新宿・文京・渋谷)では前月比-0.2%と、37か月ぶりに下落に転じた。
都心部では価格改定シェアが49.1%になった。
約半数の物件が値下げを余儀なくされている。
都心6区で売却を考える売主は、「成約価格は高値圏だが、売出し価格には調整が入り始めている」という二面性を理解する必要がある。
都心6区の売却戦略──「強気の価格」は命取りになる
都心6区で売却する売主へのアドバイスは明確だ。
レインズの3月度データによると、在庫の㎡単価は110.08万円/㎡であるのに対し、成約㎡単価は86.34万円/㎡。在庫㎡単価と成約㎡単価には平均値ベースで約27%の差がある。
売出し価格と成約価格に27%もの乖離がある。
つまり、強気すぎる価格設定では売れない。
ある大手仲介会社の営業マンは証言する。
「都心6区では、査定額より10%以上高い価格で売り出すと、3ヶ月経っても内見すら入らない。逆に、適正価格で出せば2週間で複数の申し込みが入る。価格設定の精度がすべてを決める」
都心6区は「高く売れる」市場ではなく、「適正価格なら高く売れる」市場だ。
この違いを理解できるかどうかが、数百万円の差を生む。
城南エリア──ブランド住宅地の底力
城南エリア(目黒区・世田谷区・品川区・大田区)は、都心6区に次ぐ価格帯を維持している。
目黒区は5年で+42.3%と全区2位の伸び率。特に青葉台・駒場エリア(坪542万)は「知的階層が住む街」として評価が急上昇している。
東京都心では複数の大型再開発が同時に進んでおり、周辺の不動産価値を引き上げている。品川駅周辺(リニア関連)などが代表例だ。
城南エリアの特徴は、実需層の厚さだ。
投資目的ではなく、「住みたい」という純粋な需要が価格を支えている。
この需要は金利上昇局面でも比較的安定している。
日銀は2025年12月に政策金利を0.75%に引き上げたが、2026年4月時点の変動金利は0.9〜1%前後と、歴史的に見ればまだ低い水準。共働き夫婦がペアローンを活用して1億円前後のマンションを購入する「パワーカップル」需要が、中間価格帯を支えている。
城南エリアの売却戦略──「ブランド」を活かせ
城南エリアで売却する売主は、立地のブランド価値を最大限に活用すべきだ。
「目黒区」「世田谷区」という住所そのものが、購入検討者にとってのシグナルになる。
ある大手仲介会社のエリア担当は語る。
「城南エリアの購入者は、物件のスペックより『どこに住んでいるか』を重視する傾向が強い。同じ広さ・築年数でも、最寄り駅によって成約価格が1000万円以上変わることもある」
城南エリアでの売却は、駅からの徒歩分数、周辺環境、学区など「立地の質」を訴求することが鍵となる。
城西エリア──「穴場」から「主役」への転換
城西エリア(中野区・杉並区・練馬区)は、かつて「都心に近い穴場」として位置づけられてきた。
だが、その評価は急速に変化している。
2026年の東京マンション市場では、再開発の恩恵を受けるエリアや交通利便性が再評価されているエリアが注目されている。江東区、品川区、中野区などの「城東・城北エリア」は、2026年前後に大規模な駅前整備や商業施設の開業が相次ぐ。
中野駅周辺の再開発が象徴的だ。
駅前の大規模開発が進み、「サブカルの街」から「都心直結のビジネス拠点」へと変貌を遂げつつある。
城西エリアの売却では、再開発の進捗状況をタイムリーに把握し、「将来の資産価値」を訴求することが有効だ。
城西エリアの売却戦略──「再開発の波」を最大限に活用せよ
城西エリアで売却する売主は、再開発の進捗状況をタイムリーに伝えることが最大の武器になる。
中野駅周辺の再開発は、すでに第一フェーズが完成し、オフィス・商業・住宅が一体となった街区が形成されつつある。この変化を「数字」で語れる売主は強い。「中野区の中古マンション成約㎡単価は5年間で大幅上昇した。再開発完成後もさらなる価値上昇が見込める」という形で、具体的な根拠を示すことが有効だ。
現役営業マンの証言では、「中野・杉並エリアの購入者は、中央線沿線の高騰から流れてきた層が多い。荻窪・阿佐ヶ谷では手が届かなかったが、西武新宿線や丸ノ内線沿線なら同じ予算で広い物件が買えると気づいている」という。
城西エリアは「都心に出やすく、価格がまだ手頃」という訴求が実需層に刺さる。「中野区から新宿まで10分圏内・70㎡が6,000万円台」という具体的な数字を示し、中央線沿線との価格差を武器に変えることが、城西エリアの売却を成功させる鉄則だ。
城北エリア──「再開発」が価値を書き換える
城北エリア(豊島区・北区・板橋区・練馬区)は、23区の中では価格帯が低い。
だが、上昇率は都心6区に迫る。
豊島区は5年で+41.7%と驚異的な伸び。池袋の国際アート・カルチャー都市構想、Hareza池袋の開業、としまえん跡地のハリーポッタースタジオなど、大型開発が相次ぎ街の評価を書き換えた。
2026年の公示地価(住宅地)において、東京23区全体の平均変動率は+8.99%と高水準を維持。全23区が前年比プラスで、「下落した区はゼロ」という異例の状況が続いている。
城北エリアは「安いから買う」層だけでなく、「将来性を見込んで買う」層を取り込み始めている。
城北エリアの売却戦略──「伸びしろ」を見せろ
城北エリアで売却する売主は、「今の価値」だけでなく「将来の価値」を訴求すべきだ。
現役営業マンの証言では、「城北エリアの購入者は、5年後・10年後の資産価値を重視する傾向が強い。再開発計画や新路線の情報を具体的に伝えると、成約率が明らかに上がる」という。
城北エリアのマンションは、「過去の相場」ではなく「未来の相場」で勝負できる。
この視点を持てるかどうかが、売却価格を大きく左右する。
城東エリア──「二極化」の最前線
城東エリア(墨田区・江東区・台東区・葛飾区・江戸川区・足立区・荒川区)は、23区の中で最も「二極化」が進んでいる。
城東エリアの中央区・台東区・墨田区・江東区・葛飾区・江戸川区の6区は、都心アクセスの良さと生活利便性の高さから、多くの人が検討する人気ゾーンになりつつある。
江東区の湾岸エリア(豊洲・有明)は都心6区並みの価格帯に達している。
一方、足立区や葛飾区の内陸部は、23区最安水準を維持している。
最も平米単価が大きく上昇したのは墨田区(前期比174.9%)で、目黒区(同151.0%)、文京区(同141.1%)が続く。
城東エリアは「場所」によって、まったく異なる売却戦略が必要だ。
城東エリアの売却戦略──「どの城東か」で戦い方が変わる
城東エリアの湾岸部(豊洲・有明・清澄白河など)は、都心6区と同様の戦略が有効だ。
都心3区で在庫が1.26と突出していることを踏まえると、その主要因は、過去数年間で供給が集中した湾岸エリア(中央区・港区)の二次流通在庫が、高値警戒感の中で積み上がり始めた構造的な要因が強く作用している。
湾岸タワーマンションは在庫が積み上がっている。
競合物件との差別化が必須だ。
一方、城東内陸部(足立区・葛飾区・江戸川区の駅から離れたエリア)は、実需層へのアピールが鍵となる。
足立区や板橋区、江戸川区などの主要ターミナル駅周辺は、都心へのアクセスが良いにもかかわらず価格が抑えられており、通勤時間を有効活用したい方におすすめだ。
「コストパフォーマンス」「子育て環境」「通勤利便性」を前面に出す戦略が有効だ。
「損失回避バイアス」が売り時を逃させる
心理学で「損失回避バイアス」と呼ばれる現象がある。
人は同じ金額の利益と損失を比較したとき、損失の方を2倍以上強く感じる。
マンション売却でも、このバイアスが判断を狂わせる。
「もう少し待てば、もっと高く売れるかもしれない」
「今売ったら、将来もっと上がったときに後悔する」
こうした思考が、売り時を逃させる。
2026年5月の首都圏中古マンション市場は、成約件数が2か月連続で減少し、成約㎡単価も73か月ぶりに前年同月を下回るなど、これまでの強い上昇基調に変化が見られる月となった。
市場は永遠に上がり続けるわけではない。
東京23区の中古マンションの平均希望売り出し価格は6月時点で前月比0.8%安の70平方メートルあたり1億2741万円。東京23区の中古マンション価格が2年2カ月ぶりに下落した。
2026年7月、ついに23区全体でも調整局面に入った可能性がある。
金利上昇が変えるゲームのルール
日本銀行は2024年3月19日にマイナス金利政策を解除し、2024年7月31日に0.25%程度、2025年1月24日に0.5%程度、2026年1月23日に0.75%程度へと政策金利の誘導目標を引き上げた。
金利上昇は、マンション市場のルールを変える。
購入者の借入可能額が減れば、価格交渉が厳しくなる。
急落は起きていないが、追加利上げが続くほど、人気エリア以外では価格交渉が入りやすくなる可能性がある。
都心6区や城南の人気エリアは底堅い。
だが、城北・城東の駅から離れたエリアでは、すでに価格交渉が増えている。
在庫動向を読め──「売れ残り」は市場の先行指標
在庫件数は、44,728件で前年比プラス1.8%と8ヶ月ぶりに増加した。
在庫の増加は、市場の変調を示す先行指標だ。
「売り出したが売れない」物件が増えている。
ある大手仲介会社の分析担当者は語る。
「在庫増加の相当部分は、強気すぎる価格設定の物件。適正価格で出せばすぐ売れるが、『前の人はこの価格で売れた』という情報に引きずられて高値で出し、売れ残る。これが市場を滞らせている」
「成約価格は高値圏を維持している」が「売出し価格の一部は頭打ちになり始めている」──この二面性が2026年上半期の実態だ。
売却成功のための5つの行動指針
東京23区でマンションを売却する売主が、今日から実践すべき行動指針を示す。
【行動1】23区平均ではなく、自分のエリアの成約相場を把握せよ。
レインズの成約データ、東京カンテイの価格情報を必ず確認する。
【行動2】売出し価格は成約相場の5〜10%増を上限とせよ。
それ以上の強気価格は、売れ残りリスクを高める。
【行動3】3ヶ月で売れなければ、価格を見直せ。
「待てば上がる」時代は終わった。
【行動4】複数の不動産会社に査定を依頼し、根拠を比較せよ。
高い査定額を出す会社が良い会社ではない。
【行動5】自分のマンションの「競合物件」を把握せよ。
同じ駅・同じ築年数・同じ広さの物件がいくらで売り出されているかを知ることが、適正価格設定の基礎となる。
仲介会社選びで失敗しない質問リスト
売却を依頼する不動産会社を選ぶとき、以下の質問をぶつけてほしい。
「このエリアで直近3ヶ月に成約した類似物件の㎡単価は?」
「査定額の根拠となった成約事例を3件見せてください」
「このマンションの競合物件は何件あり、それぞれいくらで売り出されていますか?」
「販売開始から成約まで、平均何日かかっていますか?」
「価格改定が必要になった場合、どのタイミングで提案しますか?」
これらの質問に即答できない営業マンは、市場を理解していない。
逆に、具体的なデータを示しながら説明できる営業マンは信頼に値する。
「築年数」と「管理状態」が価格を決める
23区内でも、築年数と管理状態による価格差は大きい。
築年数別で特に騰落率が高いのは千代田区の築11~15年、築16~20年、中央区の築16~20年、港区の築11~15年、築16~20年で平均騰落率がプラス200%(新築時価格の3倍)を上回った。
築10年〜20年の物件が最も値上がりしている。
新築時の建築コストが今より安く、かつ設備の陳腐化が進んでいないためだ。
管理状態も重要だ。
現役営業マンの証言では、「同じマンション内でも、管理組合が機能しているかどうかで成約価格が500万円以上変わることがある。管理状態の良い物件は、買主が競合する。管理が悪い物件は、値引き交渉の材料にされる」という。
売却前に確認すべきは、修繕積立金の残高、大規模修繕の実施履歴、長期修繕計画の有無だ。これらの書類を揃えて「管理がしっかりしている」と説明できる売主は、値引き交渉でも筋を通せる。
一方で、築30年超のいわゆる「オールドマンション」は、管理状態が良好であれば価格が下支えされる反面、住宅ローンの審査条件が厳しくなる金融機関が増えることも事実だ。築古物件の売却では、買主が融資を受けやすい金融機関を紹介できる仲介会社を選ぶことが成否を分ける。
「外国人需要」という新変数を理解せよ
2026年の東京23区マンション市場を語る上で、外国人購入者の存在を無視できない。
円安を背景に、海外投資家の東京不動産への関心が高まっている。特に都心6区と城南エリアのブランド物件は、シンガポール・香港・台湾・中国本土の投資家から注目されている。
ある大手仲介会社の国際営業担当はこう証言する。「港区・千代田区の1億円超の物件は、今や買主の2〜3割が外国籍。かつては日本人実需か国内投資家が主役だったが、構図が変わった」
外国人需要が厚いエリアで売却する売主は、英語対応が可能な仲介会社を選ぶことで、買主層を広げる選択肢が生まれる。仲介会社に「外国人への販売実績はあるか」を確認することが、都心部では特に重要だ。
一方、城北・城東の内陸部では外国人需要はまだ限定的だ。このエリアでは、国内実需層に的を絞った販売活動の方が有効だ。
「売り出し時期」が成約価格を決める
どれだけ良い物件でも、売り出す時期を誤れば成約価格は下がる。
マンション売却の繁忙期は1〜3月と9月だ。3月は年度替わりに合わせた転勤・入学需要が集中し、9月は夏の物件探しを経て秋に決断する層の動きが活発になる。
逆算すると、繁忙期に成約を狙うなら、10〜12月(1〜3月の繁忙期向け)、または7〜8月(9月の繁忙期向け)に売り出しを始めるのが理想だ。
現役営業マンの証言では、「12月に売り出して1月に価格改定を一度入れると、2月の成約率が劇的に上がる。繁忙期に『価格改定』のマークがつくと、新たな購入検討者の目に留まるから」という。
2026年の市場では、在庫が増加し始めている。ゴールデンタイムである売り出し最初の2週間に問い合わせを最大化するためにも、繁忙期に合わせた逆算スケジュールを組むことが成約価格の最大化につながる。
よくある失敗パターン──先人の轍を踏まない
東京23区のマンション売却で起きやすい失敗パターンを整理しておく。
失敗① 23区平均の数字を自分の物件に当てはめる
「23区の中古マンションは平均136万円/㎡」という情報を見て、自分の物件も同水準で売れると思い込む。区によって58万円/㎡から427万円/㎡まで7倍の差がある。まず自分の区・駅・マンションの成約相場を個別に確認することが出発点だ。
失敗② 「史上最高値圏だから待てばもっと上がる」と先送りする
2026年6月には23区全体の中古マンション平均希望売り出し価格が2年2ヶ月ぶりに前月比マイナスに転じた。在庫も増加し、都心6区では価格改定シェアが49.1%に達している。「待てば上がる」という判断が通用しない局面に入りつつある。
失敗③ 都心6区の感覚で城北・城東を売り出す
都心6区の価格上昇率を見て、城北・城東でも同じような強気の価格設定をしてしまう。エリアごとに買主層も競合状況も異なる。成約データに基づいたエリア固有の適正価格が鉄則だ。
失敗④ エリアの特性を無視した仲介会社を選ぶ
城南エリアの物件を、城北専門の会社に依頼する。あるいは外国人需要が厚い都心部の物件を、英語対応のできない会社に任せる。仲介会社は「東京23区の実績」ではなく「自分のエリアの実績」で選ぶべきだ。
失敗⑤ 管理状態の情報開示を怠る
修繕積立金の残高、大規模修繕の履歴、長期修繕計画を事前に整理せずに売り出す。これらを用意できていない物件は、値引き交渉の材料にされやすい。情報を先手で開示できる売主は、交渉を優位に進められる。
編集部まとめ
東京23区のマンション市場は2026年現在、史上最高値圏にある。新築平均価格は23区中19区で1億円を超え、中古成約㎡単価はバブル期を超えた。数字だけ見れば、確かに「売り時」だ。
しかし、その「売り時」は23区一律ではない。千代田区と足立区では成約㎡単価に約7倍の差がある。都心6区ではすでに価格改定が約半数の物件に入り始め、在庫も増加局面に転じている。「高値だから売れる」という単純な論理は、2026年の市場では通用しない。
売却を成功させる条件は明確だ。自分のエリアの成約データを自分で確認し、区・駅・築年数・管理状態に基づいた適正価格を把握すること。そのエリアの買主層──都心6区なら富裕層・外国人・法人、城南なら実需のパワーカップル、城北なら将来性を見込む投資家、城東なら価格敏感な一次取得者──を理解し、その層に響く訴求ポイントを組み立てること。そして、繁忙期に合わせた逆算スケジュールで売り出しを始めること。
3ヶ月売れなければ価格を見直す。値下げは一度に意味のある幅で行う。在庫が増えた今の市場では、売れ残り物件になることのリスクが、かつてより大きい。
「史上最高値圏」という言葉に踊らされず、自分の物件が23区のどの市場で戦うのかを正確に見極めること。それが、東京23区マンション売却の出発点であり、成功の条件だ。
執筆:マンション売却ジャーナル編集部




