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江戸川区マンション売却の最前線──小岩駅30階タワー×船堀駅前ツインタワー再開発×㎡単価80万円・3年で14%上昇が牽引する「子育て王国×再開発」融合エリアの資産価値構造と、葛西・西葛西・小岩・船堀エリア別売却戦略を徹底解説

  • 3 日前
  • 読了時間: 10分

  あなたは「再開発」という言葉だけでマンションを売れると思っていないか


 「小岩駅前にタワーマンションが建つらしい」「船堀駅前が変わるそうだ」──。

江戸川区のマンション所有者なら、一度は耳にした話だろう。

だが、再開発の「期待感」と、実際の「売却価格」は別物である。

この区には、再開発だけでは説明できない複雑な資産価値構造が存在する。

それを読み解かなければ、あなたの売却は失敗する。



  江戸川区マンション市況──㎡単価80万円・3年で14%上昇の「静かな上昇局面」


 首都圏中古マンションの成約㎡単価は、2020年5月から69ヶ月連続で上昇を続けている。

江戸川区も例外ではない。

江戸川区の平均売買価格は9年前と比較して44.8%上昇している。

直近の売却相場では、エリアによって平米単価49万円~80万円と駅により大きく差が見られる。

ある大手仲介会社の営業マンは、こう証言する。

「江戸川区は"割安感"で選ばれ続けてきたエリア。だからこそ、金利上昇局面でも底堅い需要がある」

江戸川区のマンションはファミリー層が多く、全体的に区の平均年齢が若い傾向にある。

この「若いファミリー」が、江戸川区の不動産市場を下支えしている。



  「損失回避バイアス」が売却判断を狂わせる


 人間は「得をすること」よりも「損をしないこと」を2倍以上重視する。

これが行動経済学でいう「損失回避バイアス」である。

マンション売却においても、このバイアスは強力に作用する。

「もう少し待てば、再開発が進んで価格が上がるかもしれない」

「今売ったら損する気がする」

こうした心理が、最適な売却タイミングを逃す原因となる。

だが冷静に考えてほしい。

再開発は完成するまでに年単位の時間がかかる。

その間、あなたのマンションは確実に築年数を重ねる。

築年数の「マイナス評価」と、再開発の「プラス評価」のどちらが大きいか──これを冷静に天秤にかけられる売主は少ない。



  江戸川区の地域構造──4つの沿線が生む「格差」の正体


 江戸川区には4つの主要沿線が走る。

東京メトロ東西線をはじめ、JR中央・総武線、都営新宿線、京成本線など、複数の主要鉄道路線が東西に走り、大手町や日本橋、新宿といった都心の中枢ビジネス街へダイレクトアクセスできる。

この「4沿線構造」が、江戸川区内の価格差を生む。

西葛西は坪172万円でエリアトップ。最安の一之江は坪121万円。その差は1.4倍。

同じ江戸川区でも、駅によって資産価値は大きく異なる。

これはスーパーの立地に似ている。

同じチェーン店でも、駅前店と郊外店では客単価が違う。

不動産も同じだ。

「江戸川区」というブランドではなく、「どの駅の徒歩何分か」で価格が決まる。


図1|江戸川区エリア別坪単価比較(2026年国土交通省地価公示より編集部作成)


  小岩エリア──JR総武線・30階タワー×再開発が生む「変革の震源地」


 小岩は今、江戸川区で最も激しく変貌するエリアである。

2026年3月、JR小岩駅南口に33階建て複合施設「FIRSTA III / プラウドタワー小岩フロント」が竣工した。

全367戸の住宅、商業施設、江戸川区運営の約3,000台の公共駐輪場で構成される。

1・2階には「オーケー(OKストア)」が入居し、地域最大級の買物拠点となった。

さらに北口でも再開発が進行する。

「パークシティ小岩 ザ タワー」は地上30階、最高高さ114.90m、総戸数731戸のタワーマンションで、2027年1月下旬に竣工予定だ。

2030年頃には、2階デッキ南側部分とJR小岩駅とを結ぶペデストリアンデッキが整備され、JR小岩駅と直結する予定である。

小岩の坪単価は現在137万円。再開発が完成する2028年頃に向けて、今後の動きに注目が集まる。

現役営業マンの証言では、「小岩は"再開発前夜"の今が売り時という見方もある。完成後は新築供給が増え、中古の競争力が相対的に落ちる可能性もある」という。



  船堀エリア──区役所移転×ツインタワー計画が示す「行政中心地」への転換


 船堀は、江戸川区の新たな「顔」となるエリアである。

2025年7月、東京都は船堀四丁目地区市街地再開発組合の設立を認可した。

この再開発では、江戸川区新庁舎(地上21階・高さ約99m)と民間棟(地上26階・約400戸)が同時に建設される。

総事業費は約1,146億円。事業者は日鉄興和不動産と東京建物。

江戸川区都市計画マスタープランでは、船堀駅周辺を「行政・防災の中心」と位置づけている。

船堀駅前広場からタワーホール船堀、民間棟、庁舎棟を幹線街路沿いに歩行者デッキで繋ぎ、防災活動拠点を形成する計画だ。

ある大手仲介会社の見立てでは、「区役所移転は強力な価格押し上げ要因。平日の人流が増え、商業施設も充実する。船堀は"静かな高騰予備軍"だ」という。



  葛西・西葛西エリア──東西線直通×「リトルインディア」の独自性


 葛西・西葛西は、東京メトロ東西線沿線の利便性が最大の武器だ。

大手町や日本橋まで20分圏内という抜群のアクセスを誇る。

西葛西周辺は「リトルインディア」としても知られ、本格的なスパイス料理や国際的な雰囲気も楽しめる。

西葛西駅の物件価格は、直近1年間で約11.5%上昇、直近3年間で約19.4%上昇している。

坪単価を3年前と比べると+17%変化している。

江戸川区西葛西エリアでは9年で47.4%の価格上昇を記録している。

現役営業マンの証言では、「葛西エリアは"多国籍"な雰囲気を好む層と敬遠する層に分かれる。ターゲットを明確にした売却戦略が必要」という。



  「子育て王国」江戸川区──50の子育て施策が生む実需の厚み


 江戸川区が他区と決定的に異なる点がある。

それは「子育て支援」の手厚さである。

ぴよママ相談でぴよママギフト(1万円相当)+妊婦支援給付金(5万円)、0歳の全家庭に毎月おむつを届ける「子育ておむつ定期便」、産後ケア3タイプ(宿泊型7,000円〜・5日まで)、えどがわママパパ応援隊(0歳は14時間無料・1時間500円)、区独自の乳児養育手当(月13,000円)、ファーストバースデーサポート(第1子6万円〜第3子以降8万円分)と、「えどがわ50の子育てプラン」の名にふさわしい充実ぶりである。

江戸川区の合計特殊出生率は特別区部の中では最も高い水準を維持している。

この「子育て世帯の厚み」が、ファミリータイプマンションの需要を下支えする。

3LDK・70㎡前後の物件は、江戸川区では常に一定の需要がある。

江戸川区では「3LDK」タイプの過去販売物件数が一番多く、販売価格の中央値は3,990万円となっている。



  水害リスク──「ゼロメートル地帯」をどう説明するか


 江戸川区のマンション売却で避けて通れないテーマがある。

水害リスクである。

江戸川区は区内の約7割がゼロメートル地帯──満潮時の水面よりも低い土地となっている。

荒川と江戸川が氾濫した場合、区のほとんどが水没し、250万人が浸水被害に遭うことが予想されている。

2025年7月末に、改定版の「水害ハザードマップ」が全戸に配布された。

買主はこの情報を知っている。

だからこそ、売主は「逃げ」ではなく「攻め」の説明が必要だ。

近年の再開発タワーは「電気室の地上化」や「備蓄倉庫の整備」など、水害に強い構造が標準化されている。

船堀四丁目の新庁舎も、地震や水害に備える中間層免震構造を採用し、浸水した場合に想定される最大の深さ5mよりも高い位置に主要設備や歩行者デッキを配置する計画だ。

あなたのマンションの「防災対策」を具体的に説明できるか。

それが成約価格を左右する。



  エリア別売却戦略──「葛西・西葛西」編


 葛西・西葛西で売却を考えるなら、「東西線直通」を最大限アピールすべきだ。

買主のほとんどは、都心への通勤利便性を重視する共働き世帯である。

都営新宿線エリア(船堀・一之江・瑞江)は道路が広く、歩道もしっかり整備されているため、ベビーカーでの移動が非常にスムーズだ。

葛西臨海公園へのアクセス、週末のレジャー環境も強調すべき材料である。

現役営業マンの証言では、「葛西エリアは"価格重視"の買主が多い。㎡単価で勝負するより、総額で魅力を出すほうが成約しやすい」という。


  エリア別売却戦略──「小岩」編


 小岩で売却を考えるなら、「再開発の進捗」と「タイミング」を冷静に見極めるべきだ。

小岩エリアは、2026年現在まさに「再開発の果実」を収穫し始めるタイミングにある。

南口「プラウドタワー」の竣工と北口「パークシティ」への期待感が重なり、資産価値は過去最高水準にある。

だが注意点もある。

パークシティ小岩ザタワーは2027年3月下旬の入居開始予定で、総戸数731戸という大量供給が控えている。

新築供給が増えれば、中古マンションの競争力は相対的に低下する。

「再開発完成前」に売るか、「完成後の街の成熟」を待つか──この判断が命運を分ける。



  エリア別売却戦略──「船堀」編


 船堀で売却を考えるなら、「区役所移転」という長期的な価値向上要因を意識すべきだ。

2030年度の竣工を目指していた新庁舎計画は、工事費高騰などの影響でスケジュールが見直され、着工時期は2029年4~9月、開庁時期は2033年1~6月となった。

つまり、船堀の「本格的な変貌」はまだ先である。

現役営業マンの証言では、「船堀は"じわじわ上がる"タイプ。派手な上昇はないが、下落リスクも低い。長期保有か、今売るか、ライフプラン次第」という。

船堀エリアは江戸川区内でも比較的犯罪件数が少なく、ファミリー世帯が多いため地域の目が届きやすい、非常にクリーンなエリアとして知られる。



  「アンカリング効果」を逆手に取る価格設定


 行動経済学に「アンカリング効果」という概念がある。

最初に提示された数字が、その後の判断の「錨(アンカー)」となる現象だ。

マンション売却では、これを逆手に取る。

最初の売出価格を「やや高め」に設定し、買主の心理的なアンカーを形成する。

ただし、高すぎると内見すら入らない。

適正価格の5~8%増しが目安だ。

江戸川区の前月比の価格動向では、「平均価格」は124万円上昇、「平均㎡単価」は2万円上昇した。

市況が上向きの今なら、強気の価格設定も許容される。



  仲介会社選びで見るべき「たった1つの質問」


 「この物件の想定買主は誰ですか?」

この質問に、具体的に答えられる営業マンを選べ。

「ファミリー層です」では不十分だ。

「共働き・子ども1人・東西線通勤・予算5,000万円前後・築浅にこだわりがないがリフォーム費用は抑えたい層」──ここまで言えるか。

江戸川区は、沿線・駅・築年数・間取りによって買主像が大きく異なる。

買主像を具体的に描けない営業マンに、最適な売却戦略は描けない。



  「物件の弱点」を先に開示する心理戦術


 江戸川区のマンションには、必ず「聞かれたくないこと」がある。

水害リスク、築年数、駅からの距離、1階の防犯──。

これらを隠すのではなく、先に開示する。

心理学でいう「自己開示の法則」である。

「このマンションはハザードマップ上、浸水深1m未満のエリアにあります。ただし、管理組合では止水板の設置と非常用発電機の導入を完了しています」

弱点を先に認め、対策を示す。

これにより、買主は「誠実な売主」と認識し、交渉がスムーズに進む。



  売却成功のための「3つのチェックリスト」


 売却前に必ず確認すべきことがある。

第一に、管理組合の議事録を過去3年分取り寄せよ。

大規模修繕の予定、管理費・修繕積立金の値上げ予定、管理会社変更の有無──買主は必ず確認する。

第二に、近隣の競合物件をリサーチせよ。

同じマンション、同じ沿線の売出物件の価格と条件を把握する。

第三に、築年数に応じた「売却ストーリー」を用意せよ。

葛西駅のマンションは、築5年以内の平均坪単価309.3万円に比べて、築40年以上では176.0万円と43.1%低下する傾向がある。

築年数による価格下落は避けられない。

だが、「管理状態の良さ」「リフォーム済み」「設備更新履歴」で下落幅を縮小できる。



編集部まとめ


江戸川区は「再開発」と「子育て支援」の2軸で動くエリアである。

小岩エリアは「再開発の果実」を収穫し始めるタイミングにあり、資産価値は過去最高水準にある。

船堀エリアは区役所移転という長期的な価値向上要因を持つ。

葛西・西葛西エリアは東西線の利便性と「リトルインディア」の独自性で底堅い需要がある。

江戸川区は23区の中で子育て世帯への補助金制度がとても充実しており、物価が安いという特徴もある。

この「実需の厚み」が、金利上昇局面でも江戸川区の価格を支える。

水害リスクは事実として存在する。

だが、それを「隠す」のではなく「対策を示す」ことで、買主の信頼を勝ち取れる。

「損失回避バイアス」に支配されず、冷静にタイミングを見極めよ。

再開発の「期待」で売るのか、「完成」で売るのか──その判断が、あなたの売却を成功に導く。


執筆:マンション売却ジャーナル編集部


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