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港区(内陸部)マンション売却の最前線──赤坂・六本木・麻布・白金、都心3区「資産価値の頂点」を形成する国際高級住宅地帯の相場構造と、麻布台ヒルズ開業・高輪ゲートウェイ波及・虎ノ門ビジネス拠点強化が牽引する売却戦略を徹底解説

  • 6月30日
  • 読了時間: 12分

  あなたは本当に、港区内陸部の「売り時」を知っているか


 赤坂・六本木・麻布・白金。

日本の不動産市場において、これらの地名が持つブランド価値は圧倒的だ。

しかし、その「圧倒的なブランド」を信じて売却活動を始めた売主が、思わぬ苦戦を強いられるケースが増えている。

「港区なら高く売れる」という思い込みが、かえって売却機会を逃す原因になっている。

本稿では、港区内陸部のマンション売却において、2026年現在の市場構造を正確に把握し、最適な売却タイミングと価格設定を導き出すための実践的な判断軸を提示する。



  「高級エリア」という言葉に隠されたアンカリング効果の罠


 心理学でいう「アンカリング効果」をご存じだろうか。

最初に提示された数字が、その後の判断に強い影響を与える認知バイアスである。

港区内陸部の売主が陥りやすいのが、まさにこの罠だ。

「麻布台ヒルズで坪単価600万円超の事例がある」「近隣の新築タワマンが3億円で即完売した」——こうした華々しいニュースが、自分の物件の価値を過大評価させる。

港区のマンション価格は、2016年の101万円/㎡から2025年には209万円/㎡へと、わずか9年間で106.4%上昇した。これは東京23区内で最も高い上昇率である。

しかし、この「平均」という数字が曲者だ。

港区タワーマンション市場では、立地の格・ブランド力・住戸規模・眺望条件が単価に直結しており、同じ港区内、さらには同一マンション内であっても価格差が大きく生じる構造が明確である。

つまり、「港区平均」という数字に引っ張られて売り出し価格を設定すると、実際の買い手が反応する価格帯から大きく乖離する可能性がある。



  スーパーの特売品と高級マンションに共通する「見せ方」の法則


 スーパーマーケットの特売コーナーを思い出してほしい。

「通常価格398円→特売198円」という表示を見ると、消費者は「お得だ」と感じる。

これは「参照価格」を提示することで、現在の価格の魅力を際立たせる手法だ。

港区内陸部のマンション売却でも、同じ原理が働く。

ただし、ここで注意すべきは「適切な参照価格」の設定である。

港区内でも、エリアによって特性と価格動向は大きく異なる。赤坂は平均㎡単価250万円、六本木は平均㎡単価240万円で、いずれも上昇モメンタムは「高」と評価されている。

元麻布ヒルズ フォレストタワーは、平均400万円台を中心とした価格帯で、港区タワーマンション市場の中核を担う存在である。


 一方で、東京ツインパークスやワールドシティタワーズは、平均200万〜300万円台に位置し、港区内では比較的手が届きやすい価格帯を形成している。

この価格差は「立地の格」という目に見えない要素が生み出すものだ。

自分のマンションがどの「参照価格帯」に属するのかを冷静に見極めることが、売却成功の第一歩となる。



  2025年〜2026年、港区内陸部を激変させた3つの再開発


 港区内陸部のマンション市場を語るうえで、避けて通れないのが大規模再開発の影響である。

2025年から2026年にかけて、このエリアでは歴史的な変化が起きた。


第一に、麻布台ヒルズの全体完成である。2025年10月29日に「レジデンスB」が竣工したことにより、総事業費約6400億円をかけた「麻布台ヒルズ」地区の全体が完成した。

東京メトロ南北線の六本木一丁目駅と麻布台ヒルズを結ぶ地下通路「セントラルウォーク」も開通し、災害時には帰宅困難者の受け入れ場所としても活用される。

麻布台ヒルズ開業後、半径500m圏内の物件価格は+18.7%上昇し、隣接エリアでも+12.3%の波及効果が確認されている。


第二に、高輪ゲートウェイシティのまちびらきである。JR東日本が主導する日本最大級の鉄道用地再開発プロジェクトで、2025年3月に第1期エリアが開業し、2026年現在は第2期以降の開業に向けて工事が進行している。

2026年3月には、高輪ゲートウェイ駅から田町駅方面に伸びる1〜3街区まで含めてグランドオープンし、まちの様子は大きく変わった。

高輪エリアは歴史的に由緒ある高級住宅街として知られ、この開発を背景に注目度は一段と高まり、マンション市場では流動性の高い状態が続いている。


第三に、虎ノ門一丁目の再開発である。虎ノ門一丁目の約1.1haの計画区域内に、延床面積約12万m2の「駅と一体となった国際的なビジネス交流拠点」となる複合ビルが開発される。高さは約180m、2026年度竣工予定である。

虎ノ門エリアは、国家戦略特区プロジェクトにおける「国際的ビジネス拠点」地区に位置付けられている。


図1|港区内陸部における主要再開発プロジェクトの位置関係


  「第2六本木ヒルズ」が示す、港区内陸部の10年後


 さらに注目すべきは、すでに都市計画が決定している「六本木五丁目西地区」の再開発だ。

六本木五丁目西地区は東京都港区の再開発地区。デベロッパーは森ビルと住友不動産。この再開発は「安全安心で緑豊かな丘陵都市」を主なコンセプトに掲げており、「第2六本木ヒルズ」と通称されることもある。

事業面積約8万㎡、総延床面積約108万㎡にもなる超大型計画で、2025年度に着工し、2030年度の竣工を目指している。

ただし、森ビルは、2026年3月の中間期の決算説明の記者会見で、この再開発の建築費はなおも上昇中とした上で「実際にどこで(いつ)建築できるかを見極めるのは非常に難しい状態」と述べた。

2026年5月15日には、建築費に加えて金利の上昇の影響で、予定していた2030年度の竣工が遅延する可能性があることが明かされた。

この情報は、売主にとって二つの意味を持つ。

一つは、六本木周辺の中古マンションに対する需要が当面続く可能性があること。

もう一つは、将来的な大量供給によって競争環境が激化するリスクがあること。

つまり、「第2六本木ヒルズ」の竣工遅延は、現在の売り時を後押しする要因ともなりうる。



  港区内陸部「4大エリア」の個別特性を読む


 港区内陸部を「高級住宅地」と一括りにする見方は、売却戦略において致命的な誤りを招く。

それぞれのエリアには明確な個性があり、買い手層も異なる。

港区には白金や麻布、青山、赤坂、高輪などの高級住宅街が数多く点在している。かつては大名の武家屋敷だったような昔ながらの邸宅のほか、新しい高級マンションも建てられている。

港区の物件価格や家賃は東京のなかでもトップクラス。そのため富裕層が多く、落ち着いた雰囲気だ。大使館も多いため、各国の大使館関係者が住んでおり、インターナショナルな雰囲気も持っている。

総務省発表のデータから算出した、2024年(令和6年)の港区の平均所得は1,781万円。全国の市区町村で堂々の1位であり、東京23区平均の約2.7倍という驚異的な水準である。


【赤坂】——政財界人・エグゼクティブが好む「都心ど真ん中」

赤坂は永田町・霞が関に隣接し、政財界の要人が多く居住するエリアだ。

TBS本社や料亭街があり、「大人の社交場」としての性格が強い。

買い手は国内の経営者層や弁護士・医師などの専門家が中心となる。


【六本木】——国際色豊かな「職住近接」需要

企業の本社機能が集中した経済活動の中心地。外資系企業や各国の大使館も数多く所在、外国人の居住者が多く見られる国際的なエリアである。

六本木ヒルズ・東京ミッドタウンのオフィスワーカーによる「職住近接」需要が根強い。

外国人エグゼクティブの需要も厚く、英語対応可能な仲介会社を選ぶことが成約率を左右する。


【麻布】——歴史あるブランド住宅地の「静謐な暮らし」

元麻布・南麻布・西麻布・東麻布と、それぞれ異なる表情を持つ。

明治維新後、旧大名家から没収した大名屋敷の跡地を「外国公館」用地として各国に提供した経緯があり、大名屋敷が多かった港区、とりわけ麻布地区に大使館が集まった。現在も多くの外国公館が港区に所在し、大使館は86カ国、全体の過半数を超える。

元麻布3丁目は、多くの有名人や富裕層が住んでいる高級住宅地として知られ、外国人の割合は22.3%に達する。


【白金・白金台】——「シロガネーゼ」に象徴される上質な生活圏

プラチナ通りを中心としたおしゃれな商店街と、閑静な住宅街が共存する。

高輪は、南部の台地が閑静な住宅街となっており、地下鉄白金高輪駅付近の白金アエルシティを核とした大規模な再開発が進み、タワーマンションが建つようになった。

ファミリー層からの人気が高く、教育環境を重視する買い手が多い。



  「国際需要」という見えない買い手を意識せよ


 港区内陸部のマンション売却において、見落とされがちなのが「国際需要」の存在だ。

港区の人口の約8%は、外国人住民で、その国籍は130か国に及んでいる。さらに、多くの大使館やインターナショナルスクール等、外国系企業などの国際的資源が豊富である。

80以上の大使館が立地し、外資系企業の進出が活発。2025年1月時点で外国人居住者は22,614人に達し、多様性に富むコミュニティを形成している。特に注目すべきは、永住者や高度専門職といった高度人材の増加傾向だ。

港区は、外国人向けの施設やサービスがもっとも集中しているエリアでもあり、インターナショナルスクール、英語対応の病院・スーパーマーケット等の生活利便性も良好である。

港区内の高級住宅は、外国人エグゼクティブや外交官向けに欧米式の間取りを採用して建てられたマンションや一戸建も多く、外国人向の高級マンションでは英語対応のフロントサービス等も整っている。

この国際需要を取り込むためには、英語対応可能な仲介会社を選ぶこと、外国人向けポータルサイトへの掲載を依頼すること、物件資料の英語版を用意することが有効だ。

ある大手仲介会社の港区担当者は「六本木・麻布エリアでは、成約の2〜3割が外国人バイヤー」と証言する。



  「損失回避バイアス」が売却判断を狂わせる


 行動経済学でいう「損失回避バイアス」とは、人間が利益を得ることよりも損失を避けることを重視する傾向のことである。

港区内陸部の売主によく見られるのが、「購入価格より安くは売りたくない」という心理だ。

しかし、この心理が合理的な売却判断を妨げることがある。

港区の物件価格は、直近1年間で約3.2%上昇、直近3年間で約106.3%上昇している。

この上昇率を考えれば、数年前に購入した物件であれば、大幅な含み益が乗っている可能性が高い。

問題は、「もっと上がるかもしれない」という期待が売却機会を逃させることだ。

2026年4月には、平均売買価格が19,067万円(272万円/㎡)で『新規登録件数』は449件、『平均建築年』は築29年である。前月と比較して『平均価格』は279万円上昇、『平均㎡単価』は4万円上昇した。

去年よりも平均価格が上昇している東京都港区のマンション。港区の売出し件数は現在は増加傾向にある。競合するマンションの売出しが増え始めるこの時期に、早めの行動で高価格を狙うべきだ。

市場が好調なときほど、在庫が積み上がりやすい。

「もう少し待てば」という心理が、結果的に値下げ競争に巻き込まれるリスクを高める。



  仲介会社選びで問うべき「3つの質問」


 港区内陸部のマンション売却において、仲介会社の選び方は極めて重要だ。

単に「大手だから安心」という選び方では、この特殊なエリアの売却を最適化できない。

以下の3つの質問を、必ず査定時に投げかけてほしい。

第一に、「御社の港区内陸部における直近1年の成約実績を教えてください」。

具体的な件数と成約価格帯を確認することで、そのエリアへの知見の深さがわかる。

第二に、「外国人バイヤーへのアプローチ手法を教えてください」。

英語対応の可否、海外向けポータルサイトへの掲載実績、外国人顧客リストの有無を確認する。

第三に、「この物件の想定買い手層と、アプローチ戦略を具体的に教えてください」。

「富裕層向けです」という曖昧な回答ではなく、「六本木ヒルズのオフィスワーカーで、現在は賃貸に住んでいる30〜40代の共働き世帯」といった具体的なペルソナを描けるかどうかを見る。

これらの質問への回答の質が、その仲介会社のこのエリアへの理解度を示す。



  「売り出し価格」の決め方——査定額の95%ルール


 港区内陸部のマンション売却において、売り出し価格の設定は成否を分ける最大の分岐点だ。

現役営業マンの証言では、「港区の売主は査定額より高く売り出したがる傾向が強い」という。

しかし、平均値だけでなく、どの価格帯の住戸が市場を形成しているかを見ることが、相場理解の鍵となる。

実務的な目安として、以下のルールを提案する。

【急いでいない場合】査定額の105%からスタートし、1ヶ月ごとに3%ずつ調整する。

【3ヶ月以内に売りたい場合】査定額の95〜100%でスタートし、初動の反応を見て調整する。

【買い替え・相続など期限がある場合】査定額の90〜95%で攻め、早期成約を優先する。

港区内陸部は「待てば高く売れる」という神話が根強いが、在庫が増加している現状では、価格競争力のある物件から順に成約していく。



  内覧対応で「勝負」を決める——港区内陸部ならではの演出


 港区内陸部のマンションを検討する買い手は、物件だけでなく「ライフスタイル」を買う。

内覧時の演出は、通常のマンション売却以上に重要だ。

第一に、周辺環境の「ストーリー」を用意する。

「徒歩3分に◯◯大使館があり、季節ごとにイベントが開催されます」「麻布台ヒルズまで徒歩10分で、慶應義塾大学予防医療センターも利用できます」といった、このエリアならではの付加価値を伝える。

第二に、「静けさ」を体感させる。

港区内陸部の高級住宅地に住む最大の価値は「都心でありながら静か」という点にある。

内覧は平日の昼間と休日の朝の両方を設定し、静謐な環境を実感してもらう。

第三に、国際性を意識した準備をする。

英語版の物件資料、周辺のインターナショナルスクールや外国人対応病院のリスト、英語が通じるスーパーマーケットの情報など、外国人バイヤーが求める情報を事前に用意しておく。



編集部まとめ


港区内陸部のマンション売却は、「ブランド」という見えない資産をいかに可視化するかの勝負である。

麻布、白金、赤坂など、長い歴史とブランド力を持つ高級住宅地のブランド価値は、短期的な市場変動に対する強い耐性を提供する。

しかし、そのブランド価値に甘えて「待てば売れる」と構えていては、市場環境の変化に取り残される。

麻布台ヒルズの完成、高輪ゲートウェイシティのまちびらき、虎ノ門ビジネス拠点の強化——これらの再開発が周辺相場を押し上げている今こそ、売却を検討する好機である。

とくに立地条件や希少性に優れた物件では、価格水準が高いうちに売却を検討することで、より良い条件での成約が期待できる。

「港区だから」という漠然とした期待ではなく、「このエリアの、この物件を、誰に、いくらで売るか」を具体的に設計すること。

それが、港区内陸部マンション売却の第一歩だ。


執筆:マンション売却ジャーナル編集部


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