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渋谷区マンション売却の最前線──100年再開発×IT企業集積が牽引する「若者文化×グローバルビジネス」融合エリアの資産価値構造と、㎡単価210万円・恵比寿・代官山・松濤のエリア別価格差を踏まえた売却戦略を徹底解説(エリア分析)

  • 5 日前
  • 読了時間: 8分

  あなたの渋谷区マンション、本当に「210万円/㎡」で売れると思っていないか


 渋谷区のマンション売却を検討している売主は、まず冷静になるべきだ。

2026年5月時点、渋谷区の中古マンション平均売買価格は1億4,724万円、㎡単価は210万円に達している。

この数字だけを見れば「まだ上がる」「高値で売れる」と考えたくなるのは無理もない。

だが、渋谷区は「平均」が最も当てにならないエリアだ。

同じ渋谷区内でもエリアや物件条件によって、価格の伸び方や評価に明確な差が生まれている。

松濤の低層邸宅と代々木のワンルームを同じ「渋谷区」で括ること自体が、売却判断を誤らせる。



  「アンカリング効果」が売主の判断を歪める


 人間の脳には「アンカリング効果」という認知バイアスがある。

最初に提示された数字を基準に判断してしまう心理作用だ。

「渋谷区は㎡単価210万円」という数字を見た瞬間、売主は無意識にそれを「自分のマンションの価値」と紐づけてしまう。

だが現実は違う。

2026年2月のレインズ実データ51件を分析すると、平均成約価格は1億2,843万円、中央値は1億680万円。1億円以上の成約が全体の52.9%を占める。

逆に言えば、約半数は1億円以下で成約している。

恵比寿・広尾エリアが最多11件成約と市場が最も安定している一方、築41年以上でも平均7,961万円で成約が継続している。

築年数やエリアによる「格差」を正しく認識することが、売却戦略の第一歩である。



  「100年に一度」の再開発が資産価値を二極化させる


 渋谷駅周辺では「100年に一度」と称される大規模再開発が進行中だ。

渋谷駅周辺は、グローバル企業やIT・スタートアップが集積するビジネス拠点としての側面が急速に強まっている。

渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期(中央棟・西棟)の完成は2027年度から2031年度に見直されている。

完成後の1フロアあたりの売場面積は、東棟と併せて最大約6,000平方メートルとなり、首都圏最大級の商業施設となる。

2034年度の全体完成時点では、「ハチ公広場」「東口地上広場」など計約20,000㎡の5つの広場空間も誕生する。

再開発の恩恵を直接受けるのは駅徒歩5分圏内の物件だ。

駅から離れた物件は、再開発による「街の顔」の変化とともに、相対的な魅力が低下するリスクがある。


図1|渋谷駅周辺再開発プロジェクト配置図


  IT企業集積がもたらす「職住近接」需要の実態


 渋谷区のマンション需要を支える柱の一つが、IT企業の集積だ。

1990年代後半から2000年代頭、渋谷は「ビットバレー」と呼ばれてITベンチャーが集積し活況を呈した。2000年以降、東京都で設立されたIT企業のうち渋谷区を拠点とする企業は588社と最も多い。

渋谷区はクリエイティブな産業の中心地の一つとして知られ、IT企業をはじめスタートアップ・ベンチャー企業が集積している。

「渋谷にオフィスを持つ」ことが特にIT企業にとってある種のステータスとなりつつあり、ITプロフェッショナルにとっても魅力が高い。

スーパーに例えるなら、渋谷は「毎日通う必要がある店」のすぐ隣に住むようなものだ。

通勤時間ゼロを実現できるエリアに住みたいという需要は、リモートワーク揺り戻し後も衰えていない。

特に渋谷ストリーム、渋谷ヒカリエ、渋谷スクランブルスクエアに入居する企業の従業員が、「オフィスまで徒歩圏内」の物件を探す動きは顕著だ。



  公示地価「+12.54%」上昇の意味を正しく読む


 渋谷区の2026年公示地価は平均609万7,793円/㎡、前年からの変動率は+12.54%の上昇だ。住宅地は+10.98%、商業地は+13.75%の上昇となっている。

商業地の上昇率が最も高かった地点は、大規模複合施設「渋谷サクラステージ」近くの「渋谷区桜丘町14-6」で+29.0%だった。

住宅地の評価額は恵比寿西が最高値で、代官山エリアの高級住宅地域に位置し、良好な住環境・生活利便性・住宅地としての成熟度が相乗的に評価されている。

地価上昇の恩恵を享受しているのは、再開発エリア直近と高級住宅地だ。

逆に言えば、そこから外れたエリアの上昇率は限定的である。



  エリア別価格差:恵比寿・代官山・松濤の「格差構造」


 渋谷区内の価格構造を理解するには、エリア別の相場を把握する必要がある。

2026年5月、松濤エリアの平均売買価格は1億2,932万円(185万円/㎡)で、平均建築年は築33年だ。

松濤は第一種低層住居専用地域として、低層マンションが中心で、新築マンションはほとんどなく、デベロッパー最高峰のハイスペックマンションが点在している。

恵比寿駅付近で最も価格が高いマンションが建っているのは、三田、広尾、代官山といった高級住宅地で、恵比寿エリアよりも価格が10%から20%高くなっている。

恵比寿駅のマンション価格は東京都23区内比・沿線比の双方で価格順位が高く、坪単価を3年前と比べると+28%変化している。

高級ブランドバッグと同じだ。同じ「バッグ」でも、ブランドと素材で価格は10倍違う。

渋谷区内でも「松濤」「代官山」「恵比寿西」というブランドが、物件価格を大きく左右する。



  築年数別の価値下落:築41年以上でも7,961万円の意味


 築年数による価値下落は不動産の宿命だが、渋谷区は例外的なエリアだ。

渋谷区の平均平米単価は3年間で63.1%上昇し、築20年超でも平均平米単価100万円台を維持している。

渋谷区のマンション価格は直近の3年間で25.74%程度上昇しており、東京都の直近3年間の変動(19.53%)に比べ、やや高めの水準だ。

築古でも価値が維持される理由は明快だ。

渋谷区は新築マンションの供給が極端に少ない。

「新築は手が届かないが、中古なら条件の良い物件を選びたい」と考える実需層が、中古市場に流れ込んでいる。この新築代替需要が、駅近や人気エリアの中古マンション価格を下支えしている。

ただし「築古でも高く売れる」のは、駅近×人気エリア×管理状態良好という条件が揃った物件に限られる。



  金利上昇が渋谷区市場に与える影響


 日本銀行が2026年1月23日に無担保コールレートの誘導水準を0.75%程度へ引き上げており、住宅ローン金利も見直しが進んでいる。

金利上昇は買い手の購入余力を直撃する。

買い手が組める住宅ローンの総額が伸びにくくなるため、価格の高い広めの住戸ほど売り出し価格のままでは動きにくくなり、価格交渉が入りやすくなる傾向がある。

渋谷区の1億円超物件は、まさにこの影響を受けやすい価格帯だ。

現役営業マンの証言では、「2億円以上の物件は成約までの期間が長期化している」という声が聞かれる。

富裕層の現金購入比率が高いエリアとはいえ、金利動向は無視できない変数となっている。



  売り出し在庫増加:競合激化のリスク


 渋谷区の売出し件数は現在増加傾向にある。競合するマンションの売出しが増え始めている。

ある大手仲介会社では、「2026年に入ってから渋谷区の新規売り出し件数が前年比15%増加している」と分析している。

売主が増えれば、買い手にとっては選択肢が増える。

同じマンション内で複数の売り出しがあれば、価格競争は避けられない。

スーパーの特売と同じだ。同じ商品が並べば、1円でも安い方が売れる。

在庫が積み上がっている時期に「強気の価格」で売り出すことは、販売長期化と最終的な値下げを招く。



  渋谷区で売却を成功させるための3つの判断軸


 渋谷区のマンション売却を検討する売主は、以下の3つの判断軸を持つべきだ。

第一に、「エリアポジション」の見極め。

駅徒歩5分以内か、松濤・恵比寿西・代官山などのブランドエリアか、再開発の恩恵を受けるエリアか。

この条件に該当しない物件は、区内平均価格をそのまま期待してはいけない。

第二に、「競合物件」の把握。

同じマンション、同じ町丁目で現在いくつの売り出しがあるか。

競合が3件以上あれば、価格で差別化するか、内覧対策で差をつけるしかない。

第三に、「買い手像」の想定。

渋谷区の買い手は大きく3タイプに分かれる。

IT企業勤務の30代DINKs、資産形成目的の投資家、そして実需富裕層だ。

自分のマンションがどの層に響くかによって、売り出し価格と訴求ポイントは変わる。



  不動産会社への「質問」で査定の質を見抜く


 査定を依頼する際、売主は受け身ではいけない。

以下の3つの質問を必ず投げかけるべきだ。

「この物件の想定買い手はどのような属性ですか?」

「同じ町丁目で過去半年に成約した事例を教えてください」

「売り出し価格と成約価格の乖離率は、このエリアで平均何%ですか?」

これらの質問に具体的な数字で答えられない会社は、渋谷区の売却実績が乏しい可能性がある。

渋谷区は「なんとなく高く売れる」エリアではない。

エリア特性、物件特性、市場動向を精緻に分析できる会社を選ぶことが、高値売却の前提条件だ。



  売却タイミング:再開発完成前か、完成後か


 再開発が進行中のエリアでは、「完成前に売るか、完成後に売るか」が論点になる。

結論から言えば、「期待値」が最も高い局面で売るのが正解だ。

再開発が完成すると、街の姿は確定する。

完成前は「さらに良くなる」という期待が価格を押し上げる。

完成後は「もう上がらない」という見方が広がり、価格は落ち着く傾向がある。

渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期の完成は2031年度、広場を含む全体の完成は2034年度を予定している。

2026年現在はまさに「期待値が上昇するフェーズ」だ。

ただし金利上昇と在庫増加という逆風も吹いている。

この両方を天秤にかけ、「売るなら今」か「もう少し待つ」かを判断する必要がある。



編集部まとめ


渋谷区のマンション売却は、平均価格の数字に惑わされてはいけない。

㎡単価210万円という区内平均は、松濤の低層邸宅から代々木のワンルームまで含めた「混合指標」に過ぎない。

あなたのマンションが恵比寿西の築浅高級物件なら、平均を大きく上回る価格で売れる可能性がある。

逆に駅から遠い築古ワンルームなら、平均価格を期待してはいけない。

100年に一度の再開発、IT企業の集積、公示地価+12%上昇という追い風は確かに吹いている。

だがその恩恵を受けられるのは、再開発エリア直近×駅近×人気町丁目という条件を満たす物件だ。

金利上昇と在庫増加という逆風の中、「高値売却」を実現するには、エリア特性を熟知した戦略が不可欠である。

これを知っていれば、渋谷区の売却で後悔することはない。


執筆:マンション売却ジャーナル編集部


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