top of page
マンション売却窓口 logo

マンション売却ジャーナル

不動産ReNetジャーナル

マンション売却専門誌

2026年下半期マンション市場展望──成約価格19カ月ぶり下落・在庫積み上がり・金利1%突破が示す「選別淘汰」時代の到来と、都心・駅近は底堅く郊外・築古は調整が進む全国二極化構造を徹底分析

  • 12 時間前
  • 読了時間: 8分

  あなたはまだ「価格が維持できる」と待ち続けていないか


 2026年上半期の数字が出揃った。

東日本レインズによると、2026年5月の首都圏中古マンション成約㎡単価は前年同月比3.9%下落の266.6万円となり、2020年4月以来73か月ぶりに下落した。

成約価格も19カ月ぶりに下落し、5,067万円となった。

同じく2026年6月には、日本銀行が政策金利を0.75%から1.0%へ引き上げた。

政策金利が1.0%になるのは1995年9月以来、約31年ぶりである。

これらの数字が示すのは、「誰でも売れる」相場の終焉だ。



  なぜ今、成約価格が下落したのか──損失回避バイアスの限界


 行動経済学に「損失回避バイアス」という概念がある。

人は得る喜びより失う痛みを2倍以上強く感じる。

だから売主は「もっと上がるはず」と強気の価格を維持したがる。

首都圏中古マンションの在庫件数は45,804件で3カ月連続の増加、在庫価格は6,643万円で前年同月比30.3%上昇した。

成約価格が5,067万円、在庫価格が6,643万円。

この「1,576万円の乖離」が何を意味するか。

売主の希望価格と、買主が払える価格の間に巨大な溝が生まれているのだ。

売り手の価格水準はさらに上を見ている一方で、買い手側はその価格に対して慎重さを強め、予算をシビアに見極めている。

損失回避バイアスに囚われた売主は高値で売り出す。

しかし買主の「購買力」は金利上昇で縮小している。

結果として売れない物件が積み上がり、在庫が膨らむ。

これが2026年5月に起きた「73か月ぶりの下落」の正体である。



  金利1%突破が買主の財布を直撃する構造


 住宅ローン金利上昇の影響を、スーパーの買い物に例えよう。

あなたは毎月10万円の食費予算を持っている。

物価が10%上がれば、同じ量を買うには11万円必要だ。

予算が変わらなければ、買う量を10%減らすしかない。

住宅ローンも同じだ。

変動金利の適用金利は2026年4月の時点で多くの金融機関が1%を超えている。

かつて0.3%台で借りられた時代と比べ、毎月の返済額は数万円単位で増加する。

返済額が増えれば借入可能額が減る。

年収800万円の世帯が借りられる金額が、6,500万円から5,500万円に縮小する──これが「買える予算が1,000万円下がる」現実だ。

今回の利上げを踏まえると、住宅ローンの変動金利は2026年10月に多くの銀行が一斉に年0.25%程度引き上げる展開が最有力シナリオである。

買主の予算がさらに縮むことは確定的だ。



  「都心・駅近は底堅く、郊外・築古は調整」という二極化の内実


 2026年5月のデータを都県別に見ると、成約㎡単価の前年比は郊外を中心にまだプラスを保っている。

一方で、価格が上がりきった東京都区部の成約件数は前年同月比マイナス17.9%と5ヶ月連続で減少している。

この二極化をどう読むか。

高価格帯の都心物件は、富裕層と海外投資家の「現金購入」に支えられてきた。

都心6区は外国人投資家や国内富裕層の「資産防衛」としての需要が根強いため、価格は高止まり、あるいは緩やかな上昇を続ける可能性が高い。

ただし在庫は積み上がり始めている。

都心6区の価格はピークを打ったとの見方もある。

一方、郊外の実需層向け物件は住宅ローン金利の影響を直撃で受ける。

利便性が低く、価格の安さだけが売りだったエリアは、金利上昇による買い控えの影響をダイレクトに受けやすく、価格調整局面に入る可能性がある。

つまり「都心は高止まり・郊外は下落」ではなく、「都心高額帯も売れにくく・郊外実需帯はさらに買い手が減る」というのが正確な構図だ。


図1|首都圏中古マンション成約価格と在庫価格の推移(東日本レインズより編集部作成)


  在庫積み上がりが示す「売り時逃し」のリスク


 注目すべきは、これまで減少傾向にあった在庫件数が44,728件と前年同月比で+1.8%増加に転じた点である。

在庫が増えるとどうなるか。

買主は選べる物件が増え、値下げ交渉の余地が広がる。

売主にとっては「待てば待つほど不利」になる構造が生まれる。

ある大手仲介会社の現役営業マンはこう語る。

「2024年までは『出せば売れる』相場だった。今は『出しても売れない物件が増えている』。売主の期待価格と成約価格の乖離が2割を超える案件が目立つ」

心理学の「アンカリング効果」がここで働く。

売主は最初に見た高値を「基準点」として認識し、それより安く売ることを損失と感じる。

しかし市場は売主の基準点を待ってくれない。

在庫が積み上がれば、最初に価格調整した売主から順に売れていく。



  新築供給減少が中古市場に与える「下支え」と「限界」


 2025年度の首都圏新築マンション供給戸数は前年度比2.6%減の2万1659戸と、1973年度以降で過去最少を更新した。

新築が出ないから中古に需要が流れる──この構造は続いている。

中古マンションは新築の6割程度で購入できる割安感があり、流通量も多く選択肢も豊富なため、中古へ関心が移るのは自然な流れだ。

ただし、この下支えにも限界がある。

金利上昇で買主の予算が縮小すれば、中古でも「買える価格帯」が下がる。

住宅ローン金利の上昇が実需層の購入意欲には重石になるとの見方もある。

新築供給減少は価格の「暴落」を防ぐ要因にはなる。

しかし「高値維持」を保証するものではない。



  2026年下半期、売主が取るべき3つのアクション


 では具体的に何をすべきか。

第一に、自分の物件が「選ばれる側」か「選ばれない側」かを直視する。

駅徒歩5分以内、築15年以内、管理組合が健全──この三条件を満たすなら底堅い。

駅徒歩10分超、築30年超、修繕積立金が不足──この三条件が重なるなら急いで動くべきだ。

第二に、査定を「成約価格基準」で取る。

2026年5月の首都圏中古マンションでは、成約価格が5,067万円、新規登録価格は6,477万円、在庫価格は6,643万円だった。

売り出し価格だけを見て相場を判断すると高く見積もりすぎる。

必ず「実際に売れた価格」を聞くこと。

第三に、「売り出し価格を3か月で見直す」ルールを最初から決める。

アンカリング効果に囚われないためだ。

3か月で内覧が5件以下なら価格が高すぎる。

感情ではなく数字で判断する仕組みを持て。



  不動産会社が言わない「値下げ提案」の真実


 現役営業マンの証言を紹介しよう。

「値下げ提案は営業マンにとってリスクだ。売主の機嫌を損ねれば媒介契約を切られる。だから本音では『下げたほうがいい』と思っていても、強く言えない担当者が多い」

これが「コミットメントと一貫性の法則」と呼ばれる心理だ。

人は一度決めたこと(高い価格設定)を変えることに強い抵抗を感じる。

売主も、最初に「5,500万円で売り出す」と決めた瞬間から、その価格を守ろうとする。

しかし市場はあなたの決意を尊重しない。

重要なのは「正しいか」ではなく「売れるか」だ。

売れない価格は正しくない。



  築古物件オーナーが今日からできる三つの質問


 築30年超の物件を所有しているなら、次の質問を不動産会社にぶつけてほしい。

①「同じ築年数・同じエリアの物件で、直近3か月に成約した事例はありますか?」

②「成約価格と売り出し価格の乖離率は何%でしたか?」

③「この物件を3か月以内に売るには、いくらで出すべきですか?」

この三つの質問に明確に答えられない会社は避けるべきだ。

今後は都心・駅近・築浅・管理状態の良い物件は底堅く、郊外・築古・修繕不安のある物件は価格調整を受けやすいなど、二極化が進みやすいと考えられる。

築古物件は「売れる」うちに売る。これが鉄則だ。



  地方都市・郊外エリアの売主が意識すべき判断軸


 首都圏だけの話ではない。

地方都市では中心部と郊外の差が広がりやすい点に注意が必要だ。中心駅周辺や商業施設が集まるエリアでは需要が維持されやすいのに対し、人口減少が進む地域や交通利便性が低いエリアでは、2028〜2030年にかけて価格が伸びにくくなる可能性がある。

地方都市の売主が確認すべきは三点だ。

①自治体の人口推計──減少率が年1%を超えるなら危険信号

②最寄り駅の乗降客数推移──減少傾向なら需要縮小のサイン

③同じマンションの直近売買事例──過去2年で成約がなければ要注意

地方こそ「待っていれば下がる」のではなく「待っていれば買い手がいなくなる」リスクがある。



  2026年下半期市場展望──選別淘汰時代の始まり


 平均価格は5年連続で過去最高を更新しており、供給が絞られるなかで価格上昇が続いている。

だが成約ベースでは変調の兆しが出た。

シンクタンクの見通しによれば、全期間固定金利型のベースとなる長期金利は2026年度平均2.64%程度、2027年度平均2.75%程度になると予測されている。

金利上昇は止まらない。

買主の予算縮小も止まらない。

在庫の積み上がりも止まらない。

この三重苦の中で売れる物件と売れない物件がはっきり分かれる。

それが「選別淘汰」の意味だ。

暴落は来ない。

しかし「あなたの物件が売れるかどうか」は保証されない。

市場平均を見て安心するのは危険だ。

自分の物件の「個別条件」で判断せよ。



編集部まとめ


2026年下半期のマンション市場は「選別淘汰」の時代に入った。

成約価格19か月ぶり下落、在庫3か月連続増加、金利1%突破──この三つの数字が示すのは「全員が高値で売れる時代の終わり」だ。

都心・駅近・築浅・管理良好の物件は底堅い。

郊外・駅遠・築古・管理不安の物件は調整圧力を受ける。

売主が取るべき行動は明確だ。

「売り出し価格」ではなく「成約価格」で相場を見る。

「感情」ではなく「数字」で価格を見直す。

「待つ」ではなく「今、動く」。

これを知っていれば、選別淘汰の時代でも損をしない売却ができる。


執筆:マンション売却ジャーナル編集部


コンテンツ利用について

本サイトに掲載している記事・分析データ・図表・画像等は、メディア・ブログ・SNS・動画等で引用いただけます。

引用の際は、出典として「マンション売却ジャーナル」の名称表記および、引用元ページへのリンク掲載をお願いいたします。

情報の改変を伴う転載や、出典を省略した掲載はご遠慮ください。

​当ページのリンクコピーはこちら

このページをシェア

白 ゴールド シンプル キャリアコンサルティング インスタグラム投稿 縦長.jpg
1.jpg

Copyright© i-labo, 2025 All Rights Reserved.。

bottom of page