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三菱地所リアルエステートサービスの実力──財閥系最高峰の仲介ブランドが提供するマンション売却サービスの強みと課題を徹底検証する

  • 4月10日
  • 読了時間: 11分

  あなたは「三菱」の看板に何を期待しているのか


 マンションを売却しようとするとき、「三菱地所」の名前に安心感を覚える人は少なくない。

日本を代表する財閥グループ、丸の内を開発してきた不動産デベロッパーの頂点、そして「ザ・パークハウス」という分譲ブランド。

しかし、あなたが本当に知りたいのは「三菱地所リアルエステートサービス」という仲介会社が、あなたのマンション売却において実際に何をしてくれるのか、ではないだろうか。

ブランドの看板と、営業担当者が机の上で行う仕事は、まったく別の話である。

この記事では、三菱地所リアルエステートサービスの実態を、売主目線で徹底的に解剖する。



  財閥系仲介会社の中での「独自のポジション」を理解する


 不動産仲介業界において「財閥系」と呼ばれる会社は、三井不動産リアルティ、住友不動産販売、東急リバブル、野村不動産ソリューションズ、そして三菱地所リアルエステートサービスの5社を指すことが多い。

しかし、三菱地所リアルエステートサービスは、他の4社とは明確に異なるポジションを取っている。

三井・住友・東急・野村が個人向け居住用不動産を主戦場としているのに対し、三菱地所リアルエステートサービスは法人向け事業用不動産が売上の中核を占める。

国土交通省が公表する「不動産流通業に関する指標」によれば、同社の取扱件数は大手6社の中で最も少ない。

しかし、取扱高で見ると上位に食い込む。

これは何を意味するか。

一件あたりの取引金額が極めて大きいということである。

つまり、三菱地所リアルエステートサービスは「数を追わない」会社なのだ。



  「数を追わない」という事実が売主にもたらす影響


 心理学に「希少性の原理」という法則がある。

人は手に入りにくいものに高い価値を感じ、容易に手に入るものの価値を低く見積もる傾向を持つ。

この法則は、不動産仲介の現場でも作用する。

年間数千件の取引をこなす大手仲介会社の営業マンにとって、あなたのマンションは「数千分の一」である。

一方、年間数百件の取引に絞り込む会社の営業マンにとって、あなたのマンションは「数百分の一」となる。

数字だけを見れば、後者のほうが一件あたりに割ける時間と労力が大きくなる計算だ。

三菱地所リアルエステートサービスは、この「希少性」を意図的に設計している会社といえる。

ただし、これは諸刃の剣でもある。

取引件数が少ないということは、店舗網も少ないということを意味する。

現役営業マンの証言では、三井のリハウスや住友不動産販売のように「駅前に店舗がある」状態とは異なり、三菱地所リアルエステートサービスの個人向け店舗は主要都市に限定される。

地方在住者や、都心以外の物件を売却したい売主にとっては、物理的なアクセスの壁が存在する。



  「ザ・パークハウス」購入者リストという武器


 三菱地所リアルエステートサービスが持つ最大の武器は、親会社・三菱地所レジデンスが分譲してきた「ザ・パークハウス」シリーズの購入者データベースである。

これは、他の仲介会社には絶対に手に入らない資産だ。

マンション売却において、買主をどこから見つけてくるかは極めて重要な問題である。

SUUMOやHOME'Sに掲載して反響を待つのは、いわば「海に網を投げる」行為だ。

どんな魚がかかるか分からない。

一方、過去に「ザ・パークハウス」を購入した顧客は、すでに三菱地所ブランドへの信頼を持ち、一定以上の購買力を証明済みの買主候補である。

この顧客リストに対して「住み替えのご案内」としてアプローチできることは、売却活動において圧倒的なアドバンテージとなる。

ある大手仲介会社の幹部は、こう語る。

「三菱は購入者リストを使った住み替え案件の成約率が高い。新築を買った人が数年後に売りに出すとき、最初に声がかかるのは当然、三菱地所リアルエステートサービスになる」

逆に言えば、あなたが売ろうとしている物件が「ザ・パークハウス」でない場合、このアドバンテージは半減する。

三菱地所リアルエステートサービスを選ぶメリットが最大化されるのは、三菱地所グループが開発した物件を売却するケースなのだ。



  法人向けノウハウが個人取引にもたらす「二面性」


 三菱地所リアルエステートサービスの強みとして、法人向け取引で培われた「交渉力」と「契約書精度」が挙げられる。

オフィスビルや商業施設の売買では、契約書の一字一句が億円単位の損得に直結する。

その環境で鍛えられた営業マンは、契約条件の詰めにおいて精緻な仕事をする傾向がある。

これは売主にとってプラスに働く場面が多い。

しかし、ここに落とし穴もある。

法人取引と個人取引は、求められるスキルセットが異なる。

法人取引は「数字と条件」で決着する世界だ。

一方、個人の居住用マンション売買は「感情と生活」が絡む。

買主が「この部屋、なんとなく好き」という曖昧な感覚で数千万円を払う世界である。

現役営業マンの証言では、三菱地所リアルエステートサービスの一部の営業担当者は、法人営業出身者が多く、個人顧客への「寄り添い型」の対応に不慣れなケースがあるという。

これは構造的な問題であり、担当者の当たり外れが大きいことを意味する。


図1|大手不動産仲介会社の取扱件数と平均取引単価の比較
図1|大手不動産仲介会社の取扱件数と平均取引単価の比較


  「両手仲介」への姿勢を見極める


 不動産仲介において、売主が最も警戒すべきは「囲い込み」である。

囲い込みとは、売主から預かった物件を他社に紹介せず、自社で買主も見つけることで売主・買主双方から手数料を得ようとする行為だ。

これは売主にとって、売却機会の損失につながる。

三菱地所リアルエステートサービスは、この問題に対してどのようなスタンスを取っているか。

結論から言えば、同社は「両手仲介比率が高い」とされる会社ではない。

取引件数自体が少ないため、無理に両手を狙うよりも、一件一件を確実に成約させる方向にインセンティブが働く構造がある。

ただし、これは会社全体の傾向であり、個別の営業担当者がどう動くかは別問題だ。

売主として確認すべきは、REINSへの登録状況と、他社からの問い合わせに対する対応姿勢である。

「REINSに登録しましたか?」「他社から問い合わせはありましたか?」という質問を、媒介契約後に定期的に投げかけることが重要だ。



  査定価格の「根拠」を問い詰める


 三菱地所リアルエステートサービスに限らず、査定価格の妥当性を見極めることは売主の責務である。

心理学に「アンカリング効果」という概念がある。

人は最初に提示された数字に引きずられて、その後の判断を歪める傾向を持つ。

不動産査定において、最初に提示される査定価格がこの「アンカー」として機能する。

高い査定価格を提示されると、売主は気分が良くなり、その会社に依頼したくなる。

しかし、実際に売れる価格と査定価格は別物だ。

三菱地所リアルエステートサービスは、取引件数を追わない会社であるがゆえに、「高い査定で媒介契約を取りに行く」インセンティブは相対的に弱い。

これは売主にとってプラスの要素である。

ただし、査定書を受け取った際には必ず「この価格の根拠となった成約事例を見せてください」と依頼すべきだ。

REINSの成約事例、東京カンテイの価格データ、近隣の売り出し事例など、根拠となるデータを提示できる営業担当者は信頼に値する。



  「三菱地所グループ内紹介」の功罪


 三菱地所リアルエステートサービスは、三菱地所グループ各社との連携を強みとして打ち出している。

住み替え先の「ザ・パークハウス」購入、リフォーム会社の紹介、相続・税務の相談窓口など、ワンストップでサービスを受けられる体制は確かに便利だ。

しかし、ここには「コミットメントと一貫性の法則」が働く。

人は一度ある方向に進み始めると、その方向に沿った選択を続けようとする心理的傾向を持つ。

三菱地所リアルエステートサービスで査定を受け、媒介契約を結び、グループ内のリフォーム会社で内装を整え、グループ内の司法書士で登記を進める。

この流れに乗ると、途中で「やっぱり他社に乗り換えよう」という判断が心理的に難しくなる。

グループ内紹介は便利である一方、売主の選択肢を狭める可能性があることを認識しておくべきだ。



  担当者の「質」をどう見極めるか


 不動産仲介において、会社選びと同等以上に重要なのが担当者選びである。

三菱地所リアルエステートサービスの営業担当者は、大きく二つのタイプに分かれる。

一つは、法人営業で経験を積み、個人向け部門に異動してきたタイプ。

もう一つは、新卒または中途で個人向け部門に配属され、そのまま経験を重ねてきたタイプ。

前者は契約交渉に強いが、個人顧客への対応が事務的になりがちだ。

後者は顧客対応に長けるが、複雑な権利関係の整理に不慣れなことがある。

売主として見極めるべきは、担当者の「得意分野」と自分の物件の「課題」がマッチしているかどうかだ。

権利関係が複雑な物件であれば前者が向いている。

標準的な物件を高値で売りたいなら後者が向いている。

査定訪問の際に「これまでに担当された案件で、最も難しかったケースは何ですか?」と質問することで、担当者の経験値と得意分野を把握できる。



  売却活動報告の「密度」を確認する


 媒介契約を結んだ後、売主が気にすべきは売却活動の進捗状況である。

専任媒介契約であれば2週間に1回、専属専任媒介契約であれば1週間に1回の報告義務がある。

しかし、報告義務を形式的に満たすことと、実質的に意味のある報告をすることは別問題だ。

三菱地所リアルエステートサービスは、取引件数が少ない分、一件あたりの報告密度が高い傾向にある。

現役営業マンの証言では、同社の営業報告は「問い合わせ件数」「内見数」「内見後のフィードバック」「競合物件の動向」など、売主が判断に使える情報が盛り込まれることが多いという。

ただし、これも担当者によってばらつきがある。

媒介契約を結ぶ前に「売却活動報告は具体的にどのような形式で行いますか?」と確認し、サンプルを見せてもらうことを推奨する。



  「高額物件」に強いという評判の実態


 三菱地所リアルエステートサービスは、1億円以上の高額物件に強いという評判がある。

これは事実だ。

理由は明確である。

同社の法人向け取引で培われた富裕層ネットワークが、高額物件の買主候補として機能するからだ。

法人オーナー、投資家、経営者など、数千万円から億単位の不動産を「ポートフォリオの一部」として購入する層と日常的に接点を持っている。

この層は、SUUMOやHOME'Sを見て物件を探すことは少ない。

彼らは「信頼できる仲介会社から、良い物件があれば紹介してほしい」と依頼するのだ。

あなたの物件が1億円以上であれば、三菱地所リアルエステートサービスのこの強みを活かせる可能性が高い。

逆に、3000万円台のファミリー向けマンションであれば、この強みは活きにくい。



  媒介契約を結ぶ前に確認すべき5つの質問


 三菱地所リアルエステートサービスに限らず、仲介会社と媒介契約を結ぶ前に確認すべき質問がある。

第一に、「この査定価格の根拠となった成約事例を見せてください」。

第二に、「REINSには登録しますか?登録後の控えは見せてもらえますか?」。

第三に、「他社からの問い合わせには、どのように対応しますか?」。

第四に、「売却活動報告は、どのような形式・頻度で行いますか?」。

第五に、「過去に担当された類似物件で、成約までの期間と最終的な成約価格を教えてください」。

これらの質問に対して、具体的かつ誠実に回答できる担当者は信頼に値する。

曖昧な回答や、回答を避ける姿勢が見られた場合は、その会社・担当者との取引は再考すべきだ。



  三菱地所リアルエステートサービスを選ぶべき売主、選ばないべき売主


 ここまでの分析を踏まえ、三菱地所リアルエステートサービスを選ぶべき売主像を明確にする。

選ぶべき売主は、以下の条件に当てはまる人だ。

「ザ・パークハウス」など三菱地所グループが開発した物件を売却する人。

1億円以上の高額物件を売却する人。

都心部に物件を所有し、三菱地所リアルエステートサービスの店舗にアクセスしやすい人。

権利関係が複雑で、法的な整理が必要な物件を売却する人。

一方、選ばない方がよい売主は、以下の条件に当てはまる人だ。

地方在住で、三菱地所リアルエステートサービスの店舗が近くにない人。

3000万円台以下の一般的なファミリーマンションを売却する人。

スピード重視で、とにかく早く売りたい人。

「大手ならどこでも同じ」と考え、担当者の質を見極める時間を取れない人。



編集部まとめ


三菱地所リアルエステートサービスは、財閥系仲介会社の中で独自のポジションを持つ。

取引件数を追わず、法人向け取引で培われた交渉力と契約精度を武器とする。

「ザ・パークハウス」購入者リストという他社にはない資産を持ち、高額物件の売却において強みを発揮する。

しかし、店舗網の狭さ、担当者の当たり外れ、グループ内紹介による選択肢の狭まりといった課題も存在する。

ブランドの看板だけで判断してはならない。

査定価格の根拠、REINS登録の姿勢、売却活動報告の密度を確認し、担当者の質を見極めることが重要だ。

これを知っていれば、あなたは三菱地所リアルエステートサービスという選択肢を、正しく評価できる。

それが、マンション売却で後悔しないための第一歩である。


執筆:マンション売却ジャーナル編集部


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