葛飾区マンション売却の最前線──新小岩39階タワー×京成立石駅高架化・北口710戸再開発×金町タワー群が牽引する「下町×再開発」融合エリアの資産価値構造と、㎡単価61万円・3年で15.8%上昇局面における新小岩・金町・亀有・立石エリア別売却戦略を徹底解説
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あなたは葛飾区のマンションを「安いから売れない」と思っていないか
「23区で最も割安な葛飾区のマンションは、資産価値が上がりにくい」──この思い込みは、2026年の今、完全に覆りつつある。
直近3年間で葛飾区のマンション価格は15.86%上昇し、2026年平均は㎡単価61万円に達した。
特に直近1年間では9.10%の上昇を記録しており、価格上昇のペースは明らかに加速している。
新小岩駅南口の39階建てタワーマンション、京成立石駅周辺の710戸大規模再開発、金町駅北口の40階建てタワー計画──これらの再開発が同時進行する葛飾区は、23区東部で最も変貌を遂げようとしているエリアだ。
売主が今知るべきは、この「下町×再開発」融合エリアの資産価値構造である。
「アンカリング効果」が葛飾区の相場を過小評価させる
人間の脳は、最初に見た数字に引きずられて判断を歪める。
これを「アンカリング効果」と呼ぶ。
葛飾区のマンションを売却しようとする売主の多くが、「葛飾区は安い」という先入観に縛られている。
確かに葛飾区の中古マンション平均価格は専有面積70㎡あたり約4,086万円で、23区の中では手頃な水準に位置する。
しかし、この「23区最安値圏」というアンカーに囚われると、足元で起きている変化を見落とす。
2026年公示地価では葛飾区の商業地が前年比+11.15%上昇しており、これは23区平均を上回る伸び率だ。
再開発エリア周辺に限れば、上昇率はさらに高い。
新小岩駅周辺の地点では住宅地の上昇率が5.6%と葛飾区平均の5.4%を上回っている。
「安いから売れない」ではなく、「安かったから買いやすく、今まさに再評価されている」──これが葛飾区マンション市場の実態である。
新小岩再開発──39階タワーが変える下町の風景
新小岩駅南口では、地上39階・高さ約160m・総戸数543戸のタワーマンションが2032年4月竣工を目指して建設される。
事業主は三井不動産レジデンシャルと首都圏不燃建築公社。2027年10月着工予定で、駅前の景観は一変する。
新小岩駅はJR総武快速線が停車し、東京駅まで15分弱。この利便性にも関わらず、これまで高層マンションが建設されることは稀だった。
再開発の総面積は約1.5ヘクタール。駅前広場と一体的なオープンスペースの整備も行われ、防災機能も強化される。
新小岩の中古マンション平均売買価格は3年前と比較して18.4%上昇している。
再開発マンションが完成すれば、周辺の中古マンション相場にも波及効果が及ぶ。
これは不動産市場における「近隣効果」と呼ばれる現象だ。
新築タワーマンションの分譲価格が周辺相場のアンカーとなり、中古マンションの価格帯を引き上げる。
ただし、売主は水害リスクも認識しておく必要がある。
新小岩駅周辺は「広域ゼロメートル市街地」に位置し、大規模な水害が発生した際に甚大な被害が生じる可能性がある。
この点は買主から必ず質問される。ハザードマップを確認し、再開発で強化される防災機能を説明できるようにしておくことが、成約率を高めるカギとなる。
京成立石再開発──710戸タワー×高架化×区庁舎移転の三重効果
京成立石駅北口では、地上36階・高さ124.75m・総戸数710戸のタワーマンションと、葛飾区新庁舎が一体整備される。
2025年11月1日に着工し、竣工は2029年度を予定している。
参加組合員には東京建物、旭化成ホームズ、首都圏不燃建築公社が名を連ねる。
この再開発の特異性は、行政機能との一体開発にある。
東街区には地上14階・地下3階の葛飾区新庁舎が入り、2030年度に移転開庁する予定だ。
区役所の移転は、平日昼間の人流を大きく変える。
商業施設の集客力が増し、エリア全体の賑わいが創出される。
京成立石駅は今後、京成電鉄押上線の四ツ木駅~青砥駅間の連続立体交差事業によって高架化され、11箇所の踏切が撤去される予定だ。
京成電鉄は葛飾区と連携し、押上線四ツ木駅・青砥駅間の延長約2.6kmの連続立体交差事業を進めている。

踏切の解消は、エリアの資産価値に直結する。
渋滞の緩和、歩行者の安全確保、南北分断の解消──これらは不動産購入者が最も重視する「暮らしやすさ」に直結する要素だ。
立石駅周辺では北口・南口東・南口西の3地区で再開発事業が同時進行しており、合計4.5ヘクタールに及ぶ大規模な街づくりが進む。
「せんべろの聖地」として知られた立石の下町情緒は、整備された防災拠点と共存する形で再構築される。
金町再開発──40階・900戸タワーが完成間近
金町駅北口では「東金町一丁目西地区第一種市街地再開発事業(クロス金町)」が進行中だ。
Ⅰ期工事として「MARK IS 葛飾かなまち」が2025年9月にグランドオープンし、Ⅱ期で建設される住宅棟は地上40階・高さ約150m・総戸数約900戸の規模となる。
Ⅱ期のタワーマンションは2026年8月着工、2030年11月竣工予定で、参加組合員には三菱地所レジデンス、三井不動産レジデンシャル、三菱地所が参画している。
この規模は葛飾区最大となる。
金町駅周辺では2009年から2019年までの10年間で人口が約1.3倍に、JR金町駅の利用者数は約1.2倍に増加した。
2013年の東京理科大学葛飾キャンパス開校が起爆剤となり、学生と研究者の流入がエリアの雰囲気を変えた。
2022年から2025年までの3年間で金町エリアのマンション価格上昇率は11%程度を記録している。
金町の強みは、再開発と教育機関の相乗効果だ。
東京理科大学の存在が「知的なエリア」というブランドを形成し、ファミリー層の需要を喚起している。
亀有──「こち亀」の街は再開発なき堅実エリア
葛飾区4大エリアの中で、亀有は大規模再開発が予定されていない。
しかし、だからこそ亀有には「隠れた売り時」がある。
亀有はJR常磐線(各駅停車)が通り、北千住まで約5分という利便性の高さと、アリオ亀有をはじめとした商業施設の充実、そして下町の雰囲気が共存するエリアとして人気がある。
亀有駅の中古マンション価格は過去8年で+32.64%上昇している。
今後5年間ではさらに+17.53%の上昇が予測されており、周辺エリア平均の+14.93%を上回る見込みだ。
亀有で売却を検討する売主は、「再開発がない=価格が上がらない」という思い込みを捨てるべきだ。
葛飾区の中古マンション平均価格は約3,482万円で、23区内では最も手頃な水準にあるため、都心からの住み替え需要が流入しやすい。
この「価格の手頃さ」こそが、亀有の最大の武器である。
エリア別売却戦略──タイミングと価格設定の実践論
葛飾区4エリアの売却戦略を、具体的に整理する。
【新小岩エリア】
再開発タワーマンションの着工は2027年10月予定。分譲価格が発表される前に売却するか、発表後の相場上昇を待つか──この判断が分岐点となる。
駅徒歩10分以内の物件は、タワーマンション完成後も「中古の手頃な選択肢」として需要が見込める。
ただし、水害リスクの説明義務を果たし、ハザードマップを買主に開示することが必須だ。
【立石エリア】
北口再開発は2025年11月着工・2029年度竣工予定だ。
工事期間中は騒音や通行規制が生じるため、「今すぐ売りたい」ニーズには向かない。
むしろ、2029年以降の完成を見越して「再開発完成後に売る」選択肢も検討すべきだ。
京成押上線の高架化は2030年度末完了目標で、踏切解消による資産価値向上が期待できる。
【金町エリア】
MARK IS 葛飾かなまちの開業により、エリアの生活利便性は大きく向上している。
900戸のタワーマンション分譲が始まれば、周辺相場にも波及効果がある。
駅徒歩5分以内の築浅物件は、タワーマンションとの比較優位を打ち出せる。
【亀有エリア】
大規模再開発がないため、「今の相場で確実に売る」戦略が有効だ。
首都圏の中古マンション成約㎡単価は2025年に82.98万円で、13年連続上昇中。
市場全体が売り手に有利な環境が続いている今こそ、亀有の売り時である。
築年数別の売却判断──築浅と築古で戦略は異なる
葛飾区の中古マンションでは「築31~40年」が997件(26%)で最多。築31年以上が全体の40%を占める。
㎡単価は築1~5年の114万円から築31~40年の44万円へと低下する。築15年までの下落度合いが最も激しい。
この数字が示すのは、葛飾区では「築浅プレミアム」が大きいということだ。
築10年以内の物件を持つ売主は、「早めに売る」ことで築浅プレミアムを最大限活かせる。
一方、築30年超の物件は、リフォーム履歴と管理状態を明示することで成約価格を引き上げられる。
ある大手仲介会社の営業マンは証言する。
「葛飾区の築古物件は、管理組合の修繕積立金と大規模修繕の実施履歴を見せるだけで、成約価格が5%以上上がることがある。買主は"ちゃんと管理されている"ことに安心感を持つ」
築古物件の売主は、管理組合の議事録、長期修繕計画、修繕積立金の推移を準備しておくべきだ。
仲介会社選びの判断軸──地元密着vs大手
葛飾区のマンション売却では、地元密着型の仲介会社が有利に働く場面がある。
再開発情報に精通し、買主候補のストックを持っているからだ。
葛飾区内では京成不動産が昭和63年から営業しており、地域に精通した仲介実績を持つ。
一方、大手仲介会社は広域からの買主集客力に強みがある。
葛飾区の物件は、都心から住み替えを検討するファミリー層に訴求力がある。
この「都心からの流入組」を取り込むには、大手のネットワークが有効だ。
現実的な選択肢は、「一般媒介で地元1社+大手1社に依頼する」方法だ。
専任媒介にこだわる必要はない。
複数の仲介会社に競争させることで、より積極的な販売活動を引き出せる。
価格設定の実践──再開発期待を織り込むか否か
葛飾区のマンション売却で最も難しいのは、「再開発期待をどこまで価格に織り込むか」という判断だ。
再開発完成前の今は、期待値と実態のギャップが生じやすい。
葛飾区の中古マンション売却価格相場は3,780万円で、専有面積中央値は61㎡、築年数中央値は31年。2026年4月において前年比112.0%、前月比102.2%で推移している。
この「前年比112%」という数字は、すでに再開発期待が一部織り込まれていることを示唆する。
売主が取るべき戦略は、「適正価格+5%」でのチャレンジ価格設定だ。
再開発エリアに近い物件であれば、この5%の上乗せは十分に正当化できる。
ただし、2ヶ月経っても反応がなければ、即座に価格調整を行う。
「高く売りたい」という気持ちと「早く売りたい」という現実のバランスを取ることが、成約への近道だ。
編集部まとめ
葛飾区は今、23区東部で最もダイナミックな変化を遂げようとしているエリアだ。
直近3年間で15.86%のマンション価格上昇を記録し、特に直近1年間では9.10%と上昇ペースが加速している。
新小岩の39階タワー、立石の710戸大規模再開発、金町の900戸タワー──これらの再開発が2030年前後に相次いで完成する。
売主が今すべきは、自身の物件と再開発との位置関係を正確に把握し、「いつ売るか」を戦略的に判断することだ。
再開発完成前に売るのか、完成後の相場上昇を待つのか。
築年数、駅距離、ローン残債、住み替え計画──これらの条件によって最適解は異なる。
「葛飾区は安い」という先入観を捨て、再開発がもたらす資産価値の変化を冷静に見極めること。
これが、葛飾区マンション売却成功の第一歩である。
執筆:マンション売却ジャーナル編集部




