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東京・準都心エリアマンション売却の最前線──新宿区・渋谷区・豊島区・文京区、副都心4区が形成する「都心3区に次ぐ資産価値帯」の相場構造と売却戦略を徹底解説

  • 6月15日
  • 読了時間: 11分

  あなたはまだ「準都心だから都心3区より下」と思っていないか


 新宿区・渋谷区・豊島区・文京区。

この4区を「副都心4区」と呼ぶ人もいれば、「準都心エリア」と位置づける業界関係者もいる。

千代田区・中央区・港区の都心3区に次ぐ資産価値帯を形成するこのエリアで、今まさにマンション売却を検討しているあなたに問いたい。

「準都心」という言葉に、なんとなく「格下」のイメージを抱いていないだろうか。

2026年1〜3月期の東京23区中古マンション市場において、新宿区、文京区、渋谷区、豊島区の4区すべてで平均価格が1億円を超えた。

都心3区だけが「億ション」の世界ではない。

準都心4区は、もはや都心3区と肩を並べる資産価値帯に突入している。

この事実を知らずに売却活動を始めれば、あなたは自分の物件価値を過小評価したまま市場に出すことになる。



  「アンカリング効果」が売主の判断を狂わせる


 心理学でいう「アンカリング効果」をご存知だろうか。

人間は最初に提示された数字を基準点(アンカー)として、その後の判断がすべてその数字に引きずられる。

不動産売却においても同様だ。

仲介会社から「この物件は8,000万円ですね」と言われると、売主の頭の中ではそれが基準になる。

本来9,500万円で売れる物件でも、最初に8,000万円と言われた瞬間、その差の1,500万円は「高望み」に見えてしまう。

準都心4区では特にこの罠が顕著だ。

「都心3区じゃないから」という無意識のバイアスが、売主自身の期待値を下げてしまう。

現役営業マンの証言では、「準都心エリアの売主は最初から控えめな価格を希望することが多い」という。

これは機会損失以外の何物でもない。



  数字で見る「準都心4区」の実力


 新宿区の公示地価は、2024年から2026年にかけて累積で約25.8%上昇しており、地価上昇の流れが鮮明になっている。

直近1年間の募集価格上昇率を見ると、東京都全体が+31.4%であるのに対し、新宿区は+36.8%と都全体を上回るペースで上昇している。

豊島区も負けていない。

豊島区のマンション価格は直近3年間で23.29%上昇しており、特に直近1年は+11.04%と加速している。

池袋駅の中古マンション売却価格相場は439.9万円/坪、70㎡換算で9,314万円となり、2026年2月時点で前年比+20.37%の上昇を記録した。

豊島区の2026年公示地価は前年比+14.27%の上昇で、住宅地でも+12.87%、商業地では+15.25%の上昇となっている。

文京区はどうか。

文京区の物件価格は、直近3年間で約33.4%上昇した。

文京区の住宅地公示地価は前年比+13.84%の上昇、商業地では+17.82%の上昇を記録している。

渋谷区に至っては、再開発効果が価格を牽引している。

渋谷桜丘町・新南口、歌舞伎町、新宿西口など、商業・オフィス複合再整備が地価上昇を牽引しており、再開発の効果は周辺住宅地にも波及し、駅近・築浅物件の取引単価を押し上げている。



  「再開発」が資産価値を底上げする構造


 準都心4区の価格上昇には明確な理由がある。

大規模再開発が連鎖的に進行しているのだ。

「新宿グランドターミナル構想」は、新宿駅を中心に西新宿・代々木・歌舞伎町・新宿御苑の各エリアを歩行者デッキで繋ぎ、駅・駅前広場・駅ビルを一体的に再編するという都市計画の大方針である。

新宿の再開発は、2026年竣工の西新宿一丁目地区から始まり、2029年の西口地区、2033年の西新宿三丁目西地区、さらに2040年代の西南口計画まで、約20年以上にわたる長期プロジェクトとなっている。

小田急電鉄、東京メトロ、東急不動産の3社は、小田急百貨店の跡地に、地上48階、高さ258.18m、延べ面積278,906㎡の超高層複合ビルを建設中で、2030年3月下旬に竣工する予定である。


 渋谷区では桜丘口地区の再開発が完了し、街の回遊性が劇的に向上した。

渋谷駅桜丘口地区市街地再開発は、渋谷駅南西部に広がる敷地に、A街区(地上39階、高さ約179メートル)、B街区(地上30階、高さ約127メートル)C街区(地上4階)の3棟で構成される大規模開発だ。

2026年度に新たなJR南口橋上駅舎が完成するとともに自由通路も竣工し、渋谷駅の改札口から桜丘町まで新たな歩行者ルートが生まれる。


 豊島区・池袋でも巨大プロジェクトが動いている。

池袋駅西口地区の再開発では、駅前の車道を廃止し歩行者専用広場とし、高さ約270メートルの高層ビルなど3棟の大型複合施設を建設する計画で、2043年度の完成を見込んでいる。

池袋マルイ跡地には「IT tower TOKYO」が2026年3月14日に開業し、池袋西口エリアを進化させる先進のIT拠点となった。


 再開発は「完成したら終わり」ではない。

完成前から期待先行で価格が上昇し、完成後はさらに実需が集まる。

準都心4区のマンションオーナーは、この再開発プレミアムを最大限活用できる立場にある。


図1|東京準都心4区の中古マンション価格・地価上昇率推移(国土交通省・東日本不動産流通機構データより編集部作成)


  スーパーの特売で考える「準都心」の価値


 準都心エリアの価値を、スーパーの買い物で例えてみよう。

都心3区は、いわば「紀ノ国屋」や「成城石井」のような高級スーパーだ。

品質は間違いないが、価格も最高レベル。

準都心4区は、「クイーンズ伊勢丹」や「明治屋」のようなポジションだ。

都心3区ほどの派手さはないが、品質は一流。

しかも、コストパフォーマンスが圧倒的に良い。

この「お値打ち感」が、実需層——特にファミリー層や共働き世帯——の支持を集めている。

都心3区では1億5,000万円出さないと手が届かない物件が、準都心4区なら1億円前後で購入できる。

この価格帯は、住宅ローンを組む実需層がギリギリ届く範囲だ。

つまり、購入検討者のボリュームゾーンが厚い。

ある大手仲介会社では、「準都心4区は物件の回転が早い」と内部で評価されているという。

都心3区のように「富裕層・投資家頼み」ではなく、実需が厚い分、景気変動にも強いのだ。



  金利上昇局面で「売り時」はいつか

 日銀は2024年3月にマイナス金利政策を解除した後、段階的な利上げを進め、2025年12月には政策金利を0.75%程度まで引き上げた。

主要なシンクタンクの予測では、2026年中には政策金利が1.0%から1.5%に到達するとの見方もある。

2026年6月現在、住宅ローン金利は変動・固定ともに上昇傾向が続いており、変動金利は2025年12月の追加利上げの影響を受け、2026年春には各金融機関で基準金利と最優遇金利が引き上げられた。

金利上昇は、買い手の購買力を直撃する。

同じ月々返済額で借りられる金額が減るからだ。

これは売主にとって何を意味するか。

「今の価格水準で買える人が、時間の経過とともに減っていく」ということだ。

現役営業マンの証言では、「2026年に入ってから、購入検討者の予算感が明らかに下がった」という。

金利上昇の影響が、じわじわと市場に浸透し始めている。



  在庫増加の兆候を見逃すな


 2026年3月の首都圏中古マンション市況では、成約㎡単価は71ヶ月連続で上昇しバブル期以来の高水準が続いている一方、在庫件数が8ヶ月ぶりに増加へ転じた。

東京都の中古マンション市場は、2026年4月も引き続き平均価格の上昇基調を維持しながら、エリアごとの需給の温度差が色濃く出ている。都区部では全エリアで成約件数が前年割れとなった。

2026年2月以降、港区・中央区・江東区(湾岸エリア)の一部では、中古マンションの売出在庫が前年比で積み上がり始めている。

価格は上昇を続けているが、在庫は増加傾向。

この組み合わせは、市場の「転換点」を示唆している。

在庫が増えるということは、売れ残る物件が出始めているということだ。

ある大手仲介会社の内部データでは、「価格調整なしでは成約しにくい物件」が増えているという。

準都心4区はまだ好調だが、この流れがいつまでも続く保証はない。



  「4区」といってもエリアごとに戦略は異なる

 新宿区・渋谷区・豊島区・文京区。

同じ「準都心」でも、購入検討者層が異なる。

新宿区は、交通利便性を最重視するビジネスパーソンや単身者が多い。

西新宿三丁目地区の再開発では、総戸数約3,200戸と新宿区内でも最大規模の住宅開発が2026年着工、2033年竣工予定で進行中だ。

ファミリー向け新規供給が増えることで、既存ストックの競争環境も変わる。

渋谷区は、IT・クリエイティブ系企業に勤める高所得層やDINKS(共働き子なし世帯)が多い。

再開発による街の変化を前向きに捉える層が購入検討者の中心だ。

豊島区は、池袋の商業集積に加え、山手線沿線という利便性で幅広い層を惹きつける。

豊島区は、池袋駅を中心とした交通利便性の高さと閑静な住宅街のバランスが魅力のエリアで、池袋駅西口の再開発や都心回帰の流れを背景に、マンション価格は上昇傾向にある。

文京区は、教育環境を重視するファミリー層の「聖地」だ。

文京区は「文教地区」として知られ、教育水準の高さでファミリー層を中心に根強い人気を誇るエリアで、景気変動があっても資産価値が落ちにくい特性がある。

購入検討者層が異なれば、訴求ポイントも変わる。

新宿区なら「〇〇駅まで乗り換えなし」、文京区なら「〇〇学校の学区内」。

エリアごとの購入検討者心理を把握した売却活動が必須だ。



  仲介会社選びで「準都心の知見」を確認せよ


 準都心4区の売却で失敗しないために、仲介会社選びでは必ずこの質問をぶつけてほしい。

「このエリアで直近半年、何件成約しましたか?」

「購入検討者はどんな属性が多いですか?」

「再開発の影響をどう見ていますか?」

曖昧な回答しか返ってこないなら、そのエリアの知見が浅い可能性が高い。

準都心4区は、都心3区ほど富裕層・投資家需要に偏っておらず、実需中心のマーケットだ。

実需層を的確に捉えるには、エリアの学校事情、商業施設、再開発スケジュール、購入検討者の属性傾向など、細かい知見が必要になる。

「大手だから安心」ではない。

「そのエリアに強いかどうか」が売却成否を分ける。



  価格設定は「強気」と「弱気」の間で


 新宿区内でも、四谷・信濃町は坪478万円で文京区と同水準だが、落合は坪276万円にとどまる。同じ「新宿区」でも、東端と西端では隣接する区が違い、隣の区の相場が価格に影響している。

区単位の平均相場だけを見て価格を決めてはいけない。

町丁目・最寄り駅・築年数・階数・眺望・管理状態——これらの個別要素が価格を左右する。

価格設定の基本は「成約事例との比較」だ。

ある大手仲介会社では、「売り出し価格と成約価格の乖離が10%以上ある物件は、売却期間が2倍以上になる」というデータを持っているという。

強気すぎる価格設定は、売却期間の長期化を招く。

一方、弱気すぎる価格設定は、得られるはずの利益を失う。

最適なのは、「相場より3〜5%高めでスタートし、反応を見ながら調整する」戦略だ。

内覧数が週に2件以上あれば価格は維持。

内覧がゼロ〜1件なら、2週間後に5%程度の価格調整を検討する。

この「反応を見ながら動く」姿勢が、最高値での売却につながる。



  「コミットメントと一貫性の法則」を利用せよ


 社会心理学でいう「コミットメントと一貫性の法則」は、売却交渉でも有効だ。

人間は、一度口にした言葉や行動に対して、一貫した態度を取り続けようとする心理がある。

購入検討者が内覧時に「この物件、良いですね」と言ったら、その言葉を引き出したことが重要だ。

その後の価格交渉で「先日、良いとおっしゃっていましたよね」と確認することで、購入検討者は自分の発言に矛盾しないよう、購入に向けて動きやすくなる。

内覧対応では、物件の良さを押し付けるのではなく、購入検討者自身に「ここが良い」と言わせることが重要だ。

「この眺望、いかがですか?」「この収納、便利そうじゃないですか?」

質問形式で相手から肯定的な言葉を引き出す。

それが成約率を高める心理テクニックだ。



  売却のタイムリミットを意識せよ


 準都心4区は今、絶好の売り時だ。

価格は高水準を維持し、実需は底堅い。

しかし、この状況がいつまでも続くわけではない。

金利上昇、在庫増加、新規供給の増加——これらの要因が重なれば、市場は買い手優位に傾く。

2025年の東京都中古マンション市場では、都区部が前年比+11.2%だった一方、多摩は-1.5%だった。すでに同じ東京でもエリア差が広がっており、今後は実需の弱い地域から価格調整が出やすいと考えられる。

準都心4区は実需が強いエリアだが、油断は禁物だ。

「売ろうと思ったときが売り時」という言葉があるが、準都心4区においては「今が売り時」と断言する。

再開発プレミアムが価格に織り込まれている今、金利がさらに上昇する前に、高値での売却を狙うべきだ。



編集部まとめ


東京・準都心4区——新宿区・渋谷区・豊島区・文京区——は、都心3区に次ぐ資産価値帯として確立された。

2026年現在、4区すべてで中古マンション平均価格が1億円を超え、地価上昇率も2桁台を維持している。

大規模再開発が連鎖的に進行し、街の価値は今後も上昇が見込まれる。


一方、金利上昇と在庫増加の兆候も見え始めている。

この局面で売却を成功させるには、エリア特性を熟知した仲介会社選び、反応を見ながら調整する価格設定、購入検討者心理を捉えた内覧対応が不可欠だ。

「準都心だから」と自分の物件を過小評価してはいけない。

数字を見れば、準都心4区の実力は明らかだ。

この事実を武器に、あなたのマンションを最高値で売却してほしい。

それが、資産価値を守る第一歩だ。


執筆:マンション売却ジャーナル編集部


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