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東急リバブルの実力──業界トップクラスの仲介力を持つ電鉄系不動産会社のマンション売却サービスを徹底検証する

  • 4月28日
  • 読了時間: 10分

  「大手なら安心」という思考停止が招く落とし穴


 あなたはまだ「東急リバブルなら間違いない」と思い込んでいないだろうか。

確かに東急リバブルは、三井のリハウス・住友不動産販売と並ぶ業界御三家の一角を占める。

売買仲介取扱件数は全国トップクラス、沿線エリアでは圧倒的な知名度を誇る。

しかし「大手だから」という理由だけで媒介契約を結ぶ売主は、しばしば痛い目に遭う。

不動産仲介会社はすべて、売主の利益と自社の利益が完全に一致しない構造を抱えている。

この構造を知らずに契約すれば、あなたは「安心料」と引き換えに数百万円を失う可能性がある。

東急リバブルという会社の実力と限界を、売主目線で解剖していく。



  電鉄系不動産会社が持つ「沿線支配」の構造


 東急リバブルを理解するには、まず電鉄系不動産会社という業態の本質を知る必要がある。

東急グループは鉄道会社を母体とし、沿線開発・住宅分譲・商業施設運営を一体的に手掛けてきた。

この「沿線一貫モデル」が、仲介事業にも色濃く反映されている。

東急沿線──具体的には東横線・田園都市線・目黒線・大井町線・池上線・東急多摩川線の沿線エリアにおいて、東急リバブルは他社の追随を許さない情報量を持つ。

これは単なるブランド認知度の話ではない。

沿線住民が「住み替えるなら東急に相談」と考える心理的刷り込みが、何十年もかけて形成されてきたのだ。

心理学でいう「単純接触効果」が、駅看板・沿線広告・グループ企業との連携を通じて蓄積されている。

結果として、東急沿線エリアの売却物件は東急リバブルに集まりやすく、購入希望者も同様に集まる。

この「情報の集積」こそが、電鉄系不動産会社の最大の武器である。



  取扱実績から読み解く「強いエリア」と「弱いエリア」


 不動産経済研究所および各社の公開資料によると、東急リバブルの売買仲介取扱件数は年間約29,000件前後で推移している。

これは三井のリハウス、住友不動産販売に次ぐ業界3位の水準だ。

しかし全国一律に強いわけではない。

東急リバブルの真の強みは、首都圏、特に東急沿線エリアに集中している。

世田谷区・目黒区・大田区・渋谷区・港区南部・横浜市青葉区・都筑区・川崎市中原区・高津区・宮前区──これらのエリアでは、東急リバブルの営業拠点密度と情報蓄積量が他社を圧倒する。


 一方、中央線沿線・西武線沿線・東武線沿線・千葉県・埼玉県北部などでは、必ずしも優位性があるとは言えない。

ある大手仲介会社の現役営業マンは「東急さんは沿線から離れると急に情報が薄くなる」と証言する。

あなたのマンションが東急沿線にあるなら、東急リバブルは有力な選択肢になる。

しかし沿線外にあるなら、「大手だから」という理由だけで選ぶのは危険だ。



  「両手仲介比率」という見えない指標


 不動産仲介会社を評価する際、取扱件数や売上高だけを見てはいけない。

売主として最も注目すべきは「両手仲介比率」である。

両手仲介とは、売主・買主の双方から仲介手数料を受け取る取引形態を指す。

一つの取引で手数料が倍になるため、仲介会社にとっては極めて収益性が高い。


 しかし売主にとっては、担当者が「自社で買主を見つけたい」という動機を持つことを意味する。

これが「囲い込み」の温床となる。

両手仲介比率は各社とも公式には開示していない。

だが業界内では「大手ほど両手比率が高い傾向がある」というのが定説だ。

東急リバブルも例外ではない。

沿線エリアでの情報集積力が高いゆえに、買主を自社で見つけやすい環境にある。

これは売主にとって「早く売れる可能性」と「囲い込みリスク」の両面を持つ。

行動経済学でいう「損失回避バイアス」を考えれば、売主は後者のリスクをより重視すべきだろう。


図1|大手不動産仲介会社の取扱件数比較(2024年度 不動産経済研究所データより編集部作成)
図1|大手不動産仲介会社の取扱件数比較(2024年度 不動産経済研究所データより編集部作成)


  東急リバブルの「売却サポートサービス」を解剖する


 東急リバブルは、売主向けにいくつかの独自サービスを展開している。

代表的なものを検証しよう。

まず「リバブルあんしん仲介保証」がある。

これは建物検査・設備保証・24時間駆けつけサービスなどをパッケージ化したものだ。

中古マンション取引では、引き渡し後のトラブルが売主の不安材料となる。

このサービスは、その不安を軽減する効果がある。

ただし注意点もある。

保証の適用条件や免責事項を細かく確認しないと、いざという時に「対象外でした」となる可能性がある。

現役営業マンの証言では「保証があることで売主が安心しすぎて、契約条件の詰めが甘くなるケースがある」という。


 次に「買取保証サービス」がある。

一定期間内に売却できなかった場合、東急リバブルが買い取るというものだ。

これは売却の確実性を担保する点で有効だが、買取価格は市場価格の70〜80%程度になるのが一般的だ。

「売れなかったら買い取ってもらえる」という安心感と引き換えに、営業担当者が「どうせ買取になるから」と積極的な売却活動を怠るリスクもある。

これは「モラルハザード」の構造そのものだ。

サービスの存在に安心するのではなく、どのような条件で発動するのかを契約前に詳細確認することが必須である。



  査定価格の作り方に潜む「アンカリング」の罠


 東急リバブルに限らず、大手仲介会社の査定には共通の傾向がある。

それは「高めの査定価格を出しやすい」という点だ。

なぜか。

媒介契約を獲得するためである。

売主は複数社に査定を依頼する。

その中で最も高い価格を提示した会社に依頼したくなるのが人間心理だ。

これを「アンカリング効果」という。

最初に提示された数字が基準点(アンカー)となり、その後の判断に影響を与える現象だ。

高い査定価格を提示した会社に依頼したものの、実際には売れず、3ヶ月後に価格を下げる──このパターンは珍しくない。

ある業界関係者は「査定価格と実際の成約価格の乖離率を見れば、その会社の営業姿勢がわかる」と指摘する。

東急リバブルの場合、沿線エリアでは過去の成約事例データが豊富なため、比較的精度の高い査定が可能だ。


 しかし沿線外では、データ不足から「とりあえず高めに出しておく」という営業判断が入りやすい。

査定価格を鵜呑みにせず、REINSの成約事例や国土交通省の不動産取引価格情報で裏付けを取る姿勢が重要だ。



  営業担当者の「質のばらつき」という現実


 大手仲介会社の最大の弱点は、営業担当者の質のばらつきである。

東急リバブルも例外ではない。

年間数百人規模で新卒採用を行い、各店舗に配属する。

結果として、経験3年未満の若手営業マンが担当につくケースも珍しくない。

もちろん若手でも優秀な人材はいる。

しかし不動産売却は「経験の蓄積」がものを言う世界だ。

価格交渉の駆け引き、契約条件の詰め方、住宅ローン審査のサポート──これらは場数を踏まないと身につかない。

現役営業マンの証言では「大手は配属ガチャがある。店長クラスが担当につけばラッキーだが、新人が担当になると売主が苦労する」という。

売主として取るべき対応は明確だ。

査定時に「担当者の経験年数」「過去の成約実績」「同一マンションまたは同一エリアでの取引経験」を直接質問することである。

これを遠慮する必要はない。

あなたは数千万円の資産を託すのだから。



  「囲い込み」を見破るための具体的チェックポイント


 囲い込みとは、他社からの購入申込を故意に排除し、自社で買主を見つけようとする行為だ。

これは法律違反ではないが、売主の利益を著しく損なう。

東急リバブルが組織的に囲い込みを行っているという証拠はない。

しかし構造的に囲い込みが発生しやすい環境にあることは否定できない。

両手仲介のインセンティブが存在し、沿線エリアでは自社で買主を見つけやすい情報力があるためだ。

売主として囲い込みを防ぐには、以下のチェックを行うべきだ。


 第一に、REINSへの登録を確認する。

専任媒介契約・専属専任媒介契約の場合、REINSへの登録は法的義務だ。

登録証明書の発行を依頼し、登録日と登録内容を確認せよ。


 第二に、他社からの問い合わせ状況を定期的に確認する。

「他の仲介会社から内覧の申込はありましたか」と毎週確認することで、営業担当者に緊張感を持たせることができる。


 第三に、SUUMOやHOME'Sなどのポータルサイトへの掲載状況を自分でチェックする。

掲載写真の枚数、物件説明文の充実度、掲載順位を確認し、不十分であれば改善を要求する。


 これらのチェックを「うるさい売主」と思われることを恐れて遠慮してはいけない。

あなたの資産を守れるのは、あなただけだ。



  東急リバブルを選ぶべきケース、選ばないべきケース


 ここまでの分析を踏まえ、東急リバブルを選ぶべきケースを整理する。

選ぶべきケースの第一は、物件が東急沿線エリアにある場合だ。

情報の蓄積量と買主候補へのリーチ力が他社を上回る。

特に世田谷区・目黒区・大田区・横浜市青葉区・川崎市中原区などでは、東急リバブルの優位性は明確だ。

第二は、売却に時間的余裕があり、じっくり高値を狙いたい場合だ。

大手のブランド力と広告力を活用し、広く買主を募集できる。

第三は、売却後のトラブルリスクを軽減したい場合だ。

各種保証サービスの存在は、心理的安心感を提供する。


 一方、選ばないべきケースもある。

第一は、物件が東急沿線エリア外にある場合だ。

中央線沿線なら中央線に強い会社、西武線沿線なら西武線に強い会社を選ぶべきだ。

第二は、スピード重視の売却が必要な場合だ。

大手は組織が大きいゆえに意思決定が遅くなりがちだ。

地元密着型の中小仲介会社のほうが、機動力で勝るケースがある。

第三は、相場より高い価格での売却を最優先する場合だ。

大手は「確実に売れる価格」を重視する傾向がある。

攻めた価格設定でチャレンジしたい場合は、少数精鋭の専門会社のほうが向いている。



  媒介契約前に必ず確認すべき5つの質問


 東急リバブルに限らず、どの仲介会社と契約する場合も、以下の質問を必ず投げかけるべきだ。


質問1:「この査定価格の根拠となる成約事例を3件以上見せてください」

曖昧な回答しかできない営業マンは、信頼に値しない。


質問2:「過去1年間で、この価格帯・このエリアの物件を何件成約しましたか」

実績がなければ、あなたの物件で「練習」されることになる。


質問3:「両手仲介と片手仲介、どちらを目指しますか」

この質問に対する反応で、営業マンの誠実さがわかる。


質問4:「他社から内覧申込があった場合、どのように対応しますか」

囲い込みをしないという明確なコミットメントを求める。


質問5:「3ヶ月後に売れなかった場合、どのような提案をしますか」

価格改定のタイミングと幅について、具体的な考えを持っているかを確認する。


 これらの質問に対して、誠実かつ具体的に回答できる営業マンを選べ。

会社のブランドではなく、担当者の質で判断するのが正解だ。



  「コミットメントと一貫性の法則」を逆手に取る


 心理学者ロバート・チャルディーニが提唱した「コミットメントと一貫性の法則」は、売主にも活用できる。

人は一度コミットメント(約束・表明)をすると、それと一貫した行動を取ろうとする心理を持つ。

営業マンに対して、媒介契約前に具体的なコミットメントを引き出しておくのだ。

「この価格で3ヶ月以内に成約を目指すということですね」と確認し、書面やメールで記録を残す。

「他社からの問い合わせには必ず対応するということですね」と念を押し、記録を残す。

これにより、営業マンは自らの発言に縛られ、一貫した行動を取りやすくなる。

売主は受け身の立場ではない。

営業マンをコントロールする主体者であるべきだ。



編集部まとめ


東急リバブルは、東急沿線エリアにおいて圧倒的な情報力と実績を持つ仲介会社だ。

沿線エリアでの売却を検討する売主にとっては、有力な選択肢となる。

しかし「大手だから安心」という思考停止は禁物だ。

両手仲介比率、囲い込みリスク、営業担当者の質のばらつき──これらの構造的な課題は、東急リバブルも他の大手も同様に抱えている。

売主として身を守るには、査定価格の根拠を検証し、担当者の実績を確認し、囲い込みを防ぐチェックを怠らないことだ。

会社のブランドではなく、担当者個人の誠実さと実力で判断せよ。

そして媒介契約前に具体的なコミットメントを引き出し、記録に残せ。

これが、大手仲介会社を「使いこなす」売主の姿勢である。

あなたの資産を守れるのは、あなただけだ。


執筆:マンション売却ジャーナル編集部


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